...万々一のことがあってはと...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...(万々一あったとしたら...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...万々一非常に不幸な場合になったとしても近世文明の精神と世界国際の関係とは独り一国をして斯の如き悲境に立至らしめる事はあるまいと云うような気がした...
永井荷風 「花火」
...万々一のお大名行列の威力まで引合いに出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...それよりもなおいけないのは、万々一、そんなことは予想するさえいやで、また予想するほどの必要が微塵(みじん)もないことですけれども、島の検分に赴(おもむ)いた船長さんと田山さんの一行の上に、何かの異変が――というようにまでもお松は念を廻(めぐら)してみるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...と申すのは、お染をベアトリーチェにして、その神聖な記憶を胸に畳んだまま、ブラジルへ逃避しようとした藤波金三郎が、斯(こ)んなことからフト恐ろしい誘惑に打ち負かされ、万々一にも、ベアトリーチェの神聖を冒涜するような事があっては、二十五歳まで童貞を守り続けて来た自分の精進も、日本を見限ってブラジルへ行こうとした決心も、たった一ぺんに土崩瓦解しそうに思えてならなかったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...万々一死相が本当にしても人間の面(つら)は暦じゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お前の二の腕が見たいのだよ」「まア」「万々一だよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...万々一これに仕掛けて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...頬摺(ほおず)り位はしたっていいとも、万々一だよ、髯を剃った跡があったら、其処で縛(しば)って構わねえ」「あの、お比奈坊が、三千両泥棒のお小姓ですか、親分」「まだわからねえよ、――それからこう言うんだ、親分の平次が、泥棒の隠した三千両を見付けたそうだから、今晩は取出すことになって居ると――」「本当ですか、それは?」「本当なら、こんなことをお前に頼むものか」「ヘェ、何が何んだかわからなくなりましたね」八五郎は平次の思惑(おもわく)を測(はか)りかねて、眼をパチ/\させて居ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――万々一お小夜がどうかすると?」「そんなことは考えても見ませんよ」金之助は向っ腹を立てたらしく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...老中が家臣に毒を盛られてはならぬな」「ハッ」「万々一にも左様の不心得者があれば...
野村胡堂 「礫心中」
...だが万々一内壁まで破れるような椿事(ちんじ)が起った場合には?――というので...
服部之総 「黒船前後」
...万々一鶴子嬢の自殺の件が漏洩するようなことがございましょうとも...
久生十蘭 「魔都」
...又上陸致候而も万々一急速之御用御坐候共...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...(b)ところで万々一...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...わたしの気分が万々一わたしの生きている間にどこぞの君子人(オネトム)のお気にかなうようなことになるなら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...万々一にも一ノ関さまが非分となれば...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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