...万々一非常に不幸な場合になったとしても近世文明の精神と世界国際の関係とは独り一国をして斯の如き悲境に立至らしめる事はあるまいと云うような気がした...
永井荷風 「花火」
...万々一のお大名行列の威力まで引合いに出して...
中里介山 「大菩薩峠」
...万々一、マドロスが、あの轍(てつ)を踏んで、あの時とは場合も違うし、清吉と、マドロスとは、性格に於ても比較にならないが、それでも、万々一……清吉のことを考え出してみると、駒井も、マドロスのために不安がこみ上げて来ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...それから、万々一、おたがいの中に我儘(わがまま)気儘(きまま)が昂じて、他の害悪をなす場合には、他の世界では、直ちにつかまえて牢へ入れたり、首を斬ったりするのですが、ここでは一切、そういう刑罰は用いますまい、刑罰の代りに遠慮を申し渡しましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...我々の生活がわかってさえもらえば、好んで周囲を悪くするものはないはずですから、万々一、そういう人は、この社会を離れてさえもらえばよろしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...万々一新聞にでも掲載されるような事になると...
野村胡堂 「女記者の役割」
...若(も)し此欄干が外れるような事があったら――万々一にもそんなことは無い筈ですが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...と申すのは、お染をベアトリーチェにして、その神聖な記憶を胸に畳んだまま、ブラジルへ逃避しようとした藤波金三郎が、斯(こ)んなことからフト恐ろしい誘惑に打ち負かされ、万々一にも、ベアトリーチェの神聖を冒涜するような事があっては、二十五歳まで童貞を守り続けて来た自分の精進も、日本を見限ってブラジルへ行こうとした決心も、たった一ぺんに土崩瓦解しそうに思えてならなかったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...万々一死相が本当にしても人間の面(つら)は暦じゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...だが万々一内壁まで破れるような椿事(ちんじ)が起った場合には?――というので...
服部之総 「黒船前後」
...小平義雄が万々一死刑を免れ...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...万々一にも大入りだったらかえっておいでなすったとたん...
正岡容 「小説 圓朝」
...それでいけないッたらまたそのときはそのときのことだ」万々一...
正岡容 「小説 圓朝」
...誠に万々一之御備に漢科之者御供被仰付候儀と奉存候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...又上陸致候而も万々一急速之御用御坐候共...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...わたしの気分が万々一わたしの生きている間にどこぞの君子人(オネトム)のお気にかなうようなことになるなら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いわゆる万々一の場合...
柳田国男 「木綿以前の事」
...もしも万々一それが悪かったらどうしよう...
柳田國男 「夢と文芸」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??