...ししの群(むれ)一穴穂王(あなほのみこ)は...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...入二一穴中一行三百余歩...
高木敏雄 「比較神話学」
...千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の一穴よりついえ...
日野強 「新疆所感」
...千丈の堤(つつみ)も蟻(あり)の一穴...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...蟻(あり)の一穴――あのいやしい女白浪の...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...雌雄ともに八竅とは鳥類同様生殖と排穢の両機が一穴に兼備され居るちゅう事で兎の陰具は平生ちょっと外へ見えぬからいい出したらしい...
南方熊楠 「十二支考」
...千丈の堤も蟻(あり)の一穴(いっけつ)から……他所事(よそごと)では御座らぬわい...
夢野久作 「名君忠之」
...牛(うし)と「いなご」一穴を出ない虎は狩れない...
吉川英治 「三国志」
...ご存知の一穴(いっけつ)の貉(むじな)のごとき陰性な者とは御同視なきように」「貉(むじな)?」「さればあれは仲のよい貉のような者たちでしょうが」「とは...
吉川英治 「私本太平記」
...一穴の貉とは誰をさして?」「では...
吉川英治 「私本太平記」
...いわゆる道誉のいう一穴(いっけつ)の者のうごきが...
吉川英治 「私本太平記」
...九月廿四日夜(よ)の明(あ)くるを待(まつ)て人夫は鍋(なべ)と米(こめ)とを携(たづさ)へ、渓流(けいりゆう)に下(くだ)り飯を炊して上(のぼ)り来(きた)る、一行初(はじ)めて腹(はら)を充(み)たし、勢に乗(じやう)じて山を降(くだ)り、三長沢支流を溯(さかのぼ)る、此河は利根の本源と殆(ほとん)ど長を等(ひとし)くし、同じく大刀根岳より発(はつ)するものたり、数間毎(こと)に必(かなら)ず瀑布(ばくふ)あり、而して両岸を顧(かへり)みれば一面の岩壁屏風(びやうぶ)の如くなるを以て如何なる危(あやう)き瀑布と雖(いへど)も之を過(す)ぐるの外(ほか)道(みち)なきなり、其危険(きけん)云ふべからず、瀑布を上(のぼ)り俯視(ふし)すれば毛髪悚然(もうはつそくぜん)、脚(あし)為(た)めに戦慄(せんりつ)す、之を以て衆敢(あへ)て来路を顧みるなし、然りと雖も先日来幾多の辛酸(しんさん)と幾多(いくた)の労苦とを甞(な)めたる為め、此険流(けんりう)を溯るも皆(みな)甚労とせず、進程亦従て速なり、恰(あだか)も四肢(しし)を以て匍匐(ほうふく)する所の四足獣に化(くわ)し去(さ)りたるの想(おも)ひなし、悠然(いうぜん)坦途(たんと)を歩(あゆ)むが如く、行々山水の絶佳(ぜつくわ)を賞(しやう)し、或は耶馬渓(やまけい)も及(およ)ばざるの佳境(かけう)を過(す)ぎ、或は妙義山(めうぎざん)も三舎を避(さ)くるの険所(けんしよ)を踏(ふ)み、只管(ひたすら)写真機械を携(たづさ)へ来らざりしを憾(うら)むのみ、愈(いよ/\)溯れば愈(いよ/\)奇にして山石皆凡ならず、右側の奇峰(きばう)を超(こ)へて俯視(ふし)すれば、豈図(あにはか)らんや渓間(けいかん)の一丘上文珠(もんじゆ)菩薩の危坐(きざ)せるあり、百二十年以前(いぜん)に見(み)たる所(ところ)の人ありと伝(つと)ふ所(ところ)の文珠岩は即ち之れなり、衆(しゆ)皆(みな)拍手喝釆(かつさい)して探検者(たんけんしや)一行の大発見を喜(よろこ)ぶ直(ただ)ちに丘下に到(いた)りて仰(あほ)ぎ見れば、丘の高(たか)さ百尺余(よ)、天然の奇岩(きがん)兀(こつ)として其頂上に立(た)ち、一見人工を加(くわ)へたる文珠菩薩に髣髴(はうふつ)せり、傍(かたはら)に一大古松あり、欝(うつ)として此文珠岩(いわ)を被(お)へり、丘を攀登(ばんと)して岩下に近(ちか)づかんとするも嶮崖(けんがい)頗甚し、小西君及(および)余の二人奮発(ふんぱつ)一番衆に先つて上(のぼ)る、他の者次(つゐ)で到(いた)る、岩に近づけば菩薩(ぼさつ)の乳頭(にうとう)と覚(おぼ)しき所に、一穴あり、頭上にも亦穴を開(ひら)けり、古人の所謂(いわゆる)利根水源は文珠菩薩の乳(ちち)より出(い)づとは、即ち積雪上を踏(ふ)み来りし際(さい)、雪(ゆき)融(と)けて水となり此の乳頭(にうとう)より滴下せるを見(み)たるを云(い)ふなるべし、され共水源を以て此処に在りとなすは非なり、水上村長木村政治郎大に喜(よろこ)んで曰く、以後年々此日を以て発見(はつけん)の紀念(きねん)となし、村民を集(あつ)めて文珠菩薩の祭礼(さいれい)を行(おこな)ひ、併(あは)せて此一行をも招待(せうたい)すべし、而して漸次道路を開通(がいつう)し爰(ここ)に達(たつ)し、世人をして参詣(さんけい)するを得せしめんと、人夫中の一人喜作なるもの両三日前より屡々(しば/\)病の為めに困(くるし)み、一行も大に憂慮(いうりよ)せしが、文珠岩を発見(はつけん)するや否(いな)直(ただ)ちに再拝して飯(めし)一椀、鰹節一本とを捧呈(ほうてい)し、祈祷(きとう)に時(とき)を移(うつ)し了(おは)りて忝(かたじけ)く其飯を喫(きつ)す、病漸次に癒(い)へ来(きた)り以後常(つね)に強健(けうけん)なりき、人夫等皆之を奇(き)とし恐喜措(お)く所(ところ)を知らざるが如し、昨朝帰途(きと)に就(つ)きし三人の行者参(まゐ)りをして若(も)し在(あ)らしめば、其喜(よろこ)び果して如何(いか)なりしか、思(おも)へば愚(ぐ)の至(いた)りなり、且(か)つ傍(かたはら)に直下数丈の瀑布(ばくふ)ありて幅(はば)も頗(すこぶ)る広(ひろ)し其地の幽(いう)にして其景の奇(き)なる、真に好仙境(こうせんきよう)と謂つべし、因(ちなみ)に云ふ此文珠岩は皆(みな)花崗岩(みがけいわ)より成(な)りて、雨水の為(た)め斯(か)くは水蝕(すゐいつ)したるなり、左に面白(おもしろ)き二首を録す万世のまどひ開けつ文珠岩木村君ももとせも知れぬ仏を見出すは文珠の智恵に勝る諸人鹽原君是より一行又河(かは)を溯(さかのぼ)り、日(ひ)暮(く)れて河岸(かはぎし)に露泊(ろはく)す、此日や白樺の樹皮を剥(は)ぎ来りて之を数本の竹上に挿(はさ)み、火を点(てん)ずれば其明宛(さ)ながら電気灯(でんきとう)の如し、鹽原君其下(そのした)に在りて、得意(とくい)の弁(べん)を揮(ふる)ひ落語二席を話す...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
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