...)――さう云ふ気が、朧(おぼろ)げながら、彼等の心に、一瞬の間、しみこんで来るからである...
芥川龍之介 「芋粥」
...けれども歌は一瞬の間(あひだ)にいつか僕を捉(とら)へてゐた否定の精神を打ち破つたのである...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...一瞬の間自然は「始めて見たる」ものゝの如く新鮮に自分の心に迫つて來る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...一瞬の間に打ち殺してしまうことがないとも言えない...
海野十三 「人造物語」
...一瞬の間も反抗と争闘との志を捨てようとはしない……馬を見よ...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...樹は一瞬の間も休みなく変化を続けて...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...しかも一瞬の間に誰がこんなに取り散らしたかと思うくらい...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...一瞬の間に音たてて...
橘外男 「仁王門」
...今一瞬の間に顔を合わせたスパセニアの映像だけは...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...もっともそれはほんの一瞬の間であった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...それさえも一瞬の間あとに残るは……汗と疲労と空腹の俺達だ!土堤の木影に眠る幼児乳のみ児は...
長沢佑 「白い魔の手」
...天人の一瞬の間なるべし忘れはててん年頃のこと思へばこれ十余年せまじき恋をした許りに私の嘗めた辛酸労苦思ひ出すさへ堪へられぬ...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...祖先そのままの姿で一瞬の間に分裂...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ふと久し振りに大金を儲けた楽しさからたとえ一瞬の間でも良い儲けた金額を持ってみたいと主人がいったのでつい油断をして同情してしまい...
横光利一 「機械」
...一瞬の間を措(お)いて...
吉川英治 「新書太閤記」
...ここへ集合した大部分の者が、一瞬の間に、各ふだんの姿をかなぐり捨てて、こよいの晴れの討入装束に着更えてしまった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...院の御所とか、六波羅(ろくはら)の館(やかた)とかまた平家の門葉(もんよう)の第宅(ていたく)には、夜となれば月、昼となれば花や紅葉、催馬楽(さいばら)の管絃の音(ね)に、美酒と、恋歌(こいうた)の女性(たおやめ)が、平安の夢を趁(お)って、戦いと戦いとの、一瞬の間を、あわただしく、享楽しているのであったが、一皮(ひとかわ)剥(む)いた京洛(みやこ)の内部には、こうした、飢(う)えと飢えとの寄り合い家族と、家なき浮浪人が、空寺(あきでら)、神社、辻堂、石垣、およそ屋根と壁の形さえあれば――そして住む主(ぬし)さえいなければ――巣を作って、虫螻(むしけら)のごとく、獣(けだもの)のごとく、生きていた...
吉川英治 「親鸞」
...皆が一瞬の間戸惑つてゐると...
和辻哲郎 「西の京の思ひ出」
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