...またウツシコヲの命の女のイカガシコメの命と結婚してお生みになつた御子はヒコフツオシノマコトの命お一方です...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...またオホツツキタリネの王の女のカグヤ姫の命と結婚してお生みになつた御子はヲナベの王お一方です...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...その大部分は、パリーの塋窟(カタコンブ)の上手のぐらぐらした小さな家――モンパルナス大通り一六二番地――で書かれたのであって、その家は、一方では、重々しい馬車や都会のたえざるどよめきに揺られていたが、他の一方には、饒舌(じょうぜつ)な雀(すずめ)や喉(のど)を鳴らす山鳩(やまばと)や美声の鶫(つぐみ)が群がってる古木のある、古い修道院の庭の、日の照り渡った静寂さがたたえていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もしこう云う態度で平岡に当りながら、一方では、三千代の運命を、全然平岡に委(ゆだ)ねて置けない程の不安があるならば、それは論理の許さぬ矛盾を、厚顔に犯していたと云わなければならない...
夏目漱石 「それから」
...が、一方では、まだ握っていられると云う意識が大層嬉(うれ)しかった...
夏目漱石 「それから」
...一方では松本の何者なるかをこういう風に考えつつ...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...その癖(くせ)一方では坂井の事が気にかかった...
夏目漱石 「門」
...一方では理性によって測量される...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...その一方で、ここでは三十年来、若い女性の姿はついぞ見かけられなかったし、若者で長く居ついた者もなかったので、ここの住人達はおのずから、この下宿の雰囲気を寂しげなものにしてしまっていた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...一方ではさらさらといふ衣ずれの音がして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...一方では下田の細君が...
平林初之輔 「誰が何故彼を殺したか」
...おかしなことだが、一方では、それが僕のこのとききりの幻であってくれればいいというような気もしていたのだ...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...一方では人生を幾分楽しみ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...一方で愛人を持ちながら他方でプロスチチュートを買いつづけていたら...
三好十郎 「恐怖の季節」
...侍従は一方で斎院(さいいん)の女房を勤めていたからこのごろは来ていないのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...女の役目は減る一方であった...
柳田国男 「木綿以前の事」
...そうしながら一方では...
山本周五郎 「さぶ」
...その一方ではきびしくその身を見張っていた」のだった...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
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