...彼女の顔に一抹の不安が浮かんでいた...
...試験に一抹の不安を感じている...
...彼の表情に一抹の寂しさが感じられる...
...彼女は笑いながら一抹の悲しみを隠していた...
...初めての成功に一抹の感動を覚えた...
...ただあるがまま……ただ一抹(いちまつ)の清い悲しい静けさ...
有島武郎 「或る女」
...たちどころに一抹の水蒸気と化して中空に消えゆきそうに考えられるのだった...
海野十三 「振動魔」
...紫色に煙って見える遠山の空に一抹の夕映の色が残っていた...
田中貢太郎 「申陽洞記」
...恋愛的な気持の一抹もないようなことは絶対に無いと云っていいから...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...芦名兵三郎の上に一抹の疑いを掛けて居るのでしょうか...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...何んとなく一抹の苦渋の色が浮びます...
野村胡堂 「女記者の役割」
...さり氣ないうちに漂ふ一抹(まつ)の怪奇さがあります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...江差追分(えさしおいわけ)から安来節(やすきぶし)までの港々の民謡に一抹の基調が通っているのはそのためである...
服部之総 「望郷」
...一抹のひややかさを感じ...
室生犀星 「故郷を辞す」
...まったく霊魂は、この敵を恐れる限りとうてい落ちついていることはできないが、ひとたびこれに対して覚悟ができれば(もっともそれはいわば人間わざを凌駕することであるが)、そうなれば、もう、不安も苦悶も、恐怖も、一抹の不快も、ここには宿ることができないぞ、と威張ることができるのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...このことは一抹の淋(さび)しさを吾々に抱かしめる...
柳宗悦 「地方の民藝」
...ぼくらの結婚に一抹の不安を持っていたことなどおもい出すのである...
山之口貘 「沖縄帰郷始末記」
...どことなく土地は一抹の羞しそうな処女の表情をしている...
横光利一 「欧洲紀行」
...どう仕様もない一抹の悲しみの露となって滴り...
横光利一 「旅愁」
...一抹(いちまつ)...
吉川英治 「三国志」
...一抹(まつ)の不満と淋しみを噛む顔でない者はない...
吉川英治 「私本太平記」
...一抹の不審にハッとその御眉は吹き研(と)がれたかのようだった...
吉川英治 「私本太平記」
...何の苦心もなく一抹(いちまつ)したかのような墨画(すみえ)の蕪(かぶら)であったが...
吉川英治 「新書太閤記」
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