...彼女の顔に一抹の不安が浮かんでいた...
...試験に一抹の不安を感じている...
...彼の表情に一抹の寂しさが感じられる...
...彼女は笑いながら一抹の悲しみを隠していた...
...初めての成功に一抹の感動を覚えた...
...日に光り輝いておった海原に一抹(いちまつ)の墨を加えて来る...
高浜虚子 「別府温泉」
...空に一抹の雲もなかつた...
太宰治 「道化の華」
...慌(あわただ)しい中にも妙に一抹の侘(わび)しさを私の胸に滲(し)み入らせていたが...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...紫色に煙って見える遠山の空に一抹の夕映の色が残っていた...
田中貢太郎 「申陽洞記」
...陰翳の多い筆で一抹的に描いて...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...今まで自分など机上で考えていたような楽観的な科学的災害防止可能論に対する一抹(いちまつ)の懐疑である...
寺田寅彦 「災難雑考」
...天の一方には弦月(げんげつ)が雲間から寒い光を投げて直下の海面に一抹の真珠光を漾(ただよ)わしていた...
寺田寅彦 「札幌まで」
...空を曵(ひ)く一抹(いちまつ)の雲の有るところでは...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...何か自分の生い立ちにも一抹(いちまつ)の云いしれず暗い翳(かげ)のかかっているのを感ずるが...
堀辰雄 「花を持てる女」
...白梅の一抹が雪の如く一白に見えてソシテこの上も無く純潔に感ずるのは緑萼梅の林である...
牧野富太郎 「植物記」
...省みて民謡を有たない生活に一抹の淋(さび)しさを思わないわけにはゆきませぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...ひやりと一抹(いちまつ)の不安を覚えるのはどうしたことだろうか...
横光利一 「微笑」
...一抹の愁雲(しゅううん)に覆われてしまった宮津藩は...
吉川英治 「剣難女難」
...一抹の不安を持ったことは否めない...
吉川英治 「三国志」
...それは一抹(まつ)の疑惑となっているらしい...
吉川英治 「私本太平記」
...一抹(まつ)の不満と淋しみを噛む顔でない者はない...
吉川英治 「私本太平記」
...その一抹(まつ)な危惧は...
吉川英治 「私本太平記」
...岸に並ぶもろもろの山も森もすべて一抹の影を帯ぶる事なく...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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