...彼女の顔に一抹の不安が浮かんでいた...
...試験に一抹の不安を感じている...
...彼の表情に一抹の寂しさが感じられる...
...彼女は笑いながら一抹の悲しみを隠していた...
...初めての成功に一抹の感動を覚えた...
...其中に唯一つ一抹の白烟の帝都の空に搖曳せるあり...
大町桂月 「鹿野山」
...主のない部屋の中は寒々とした一抹の空虚(うつろ)をどことなく漂わせているように感じられた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...今まで自分など机上で考えていたような楽観的な科学的災害防止可能論に対する一抹(いちまつ)の懐疑である...
寺田寅彦 「災難雑考」
...とかくするうち東の空白み渡りて茜(あかね)の一抹(いちまつ)と共に星の光まばらになり...
寺田寅彦 「東上記」
...その白い頬(ほお)に一抹(まつ)の赤味が上った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...更に一抹(いちまつ)の血の気(け)もなくなった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...学者の心事を知らざるものなりと一抹し去らんとしたれども...
福沢諭吉 「学問の独立」
...どこか一抹(いちまつ)の哀愁のようなものが漂っており...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...のぞみありげな勧説(かんぜい)にも一抹(いちまつ)の疑いを持ち...
本庄陸男 「石狩川」
...その静寂さは何処の隅々までも一抹の憂ひの埃を残さず...
牧野信一 「サクラの花びら」
...一抹(いちまつ)のにぎやかさがどういう困苦のなかにいても...
室生犀星 「津の国人」
...すぐ一抹(いちまつ)の水煙を立てると...
室生犀星 「後の日の童子」
...一抹の哀感に襲われてしまうのは決して沖縄人であるからというそのせいばかりではないのである...
山之口貘 「私の青年時代」
...その五十幾歳を一期として死んで行く間際に当って一抹の哀愁の場面が点綴(てんてつ)されることになったのはコトワリセメて是非もない次第であった...
夢野久作 「近世快人伝」
...一抹(まつ)の墨(すみ)がなすられてきた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...一抹の航跡を曳(ひ)いて...
吉川英治 「随筆 新平家」
...なお一抹の不気味をのこしている...
吉川英治 「平の将門」
...一抹の哀愁にとらわれて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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