...彼女の顔に一抹の不安が浮かんでいた...
...試験に一抹の不安を感じている...
...彼の表情に一抹の寂しさが感じられる...
...彼女は笑いながら一抹の悲しみを隠していた...
...初めての成功に一抹の感動を覚えた...
...慌(あわただ)しい中にも妙に一抹の侘(わび)しさを私の胸に滲(し)み入らせていたが...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...紫色に煙って見える遠山の空に一抹の夕映の色が残っていた...
田中貢太郎 「申陽洞記」
...一抹(いちまつ)の紫色がかった雰囲気(ふんいき)がこの盛り花の灰色の団塊の中に揺曳(ようえい)するような気がした...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...ほてった皮膚に冷たい筆の先が点々と一抹(いちまつ)の涼味を落として行くような気がする...
寺田寅彦 「自由画稿」
...底に一抹(いちまつ)の軽い非難を含んだような讃辞を頂戴したことがあった...
寺田寅彦 「新年雑俎」
...ただ近来少数ではあるがまじめで立派な連句に関する研究的の著書が現われるのは暗夜に一抹(いちまつ)の曙光(しょこう)を見るような気がして喜ばしい...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...蒼白かった竜之助の顔にパッと一抹(いちまつ)の血が通うと見えましたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...一抹(いちまつ)の淋しいものの漂うのに堪えられない気持がしました...
中里介山 「大菩薩峠」
...一抹の淋しさを漂わした感情の所有者であることなどが直に窺われる...
宮本百合子 「九月の或る日」
...思わず胸の中を一抹の微笑が流れた...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一抹のひややかさを感じ...
室生犀星 「故郷を辞す」
...まったく霊魂は、この敵を恐れる限りとうてい落ちついていることはできないが、ひとたびこれに対して覚悟ができれば(もっともそれはいわば人間わざを凌駕することであるが)、そうなれば、もう、不安も苦悶も、恐怖も、一抹の不快も、ここには宿ることができないぞ、と威張ることができるのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...一抹(まつ)のさびしさを覚えたのである...
吉川英治 「剣の四君子」
...一抹の哀愁(あいしゅう)はある...
吉川英治 「剣の四君子」
...碧空(へきくう)をかすめた一抹(まつ)の煙を見ると...
吉川英治 「三国志」
...拭(ぬぐ)いきれない一抹のさびしさがあった...
吉川英治 「三国志」
...大事の曙光(しょこう)に一抹(まつ)の黒き不安を捺(な)すってしまった! もし向後(こうご)渭山(いやま)の城に妖異のある場合はいよいよ家中の者に不吉を予感さするであろう...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...一抹(まつ)の水けむりと共に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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