...十分たつかたたぬ中にわしはどうやら一廉(ひとかど)の豪華の児になつてしまつた...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...洒落は一廉(ひとかど)の人間のする事...
泉鏡花 「薄紅梅」
...そして維新の風雲の間に一廉(ひとかど)の地位を占めて来た...
大隈重信 「青年の天下」
...既(も)う一廉(かど)の鑑定家といつて可(い)い...
薄田泣菫 「茶話」
...それらが一廉(ひとかど)の俳人になってどんな事を仕でかすか...
高浜虚子 「俳句への道」
...『埋木』と『即興詩人』とは、当時、苟くも文学に志してゐるものゝ読まぬものはないといふ位に評判のあつた作で、一廉の作家達も、それに由つて裨益されることが多かつた...
田山録弥 「明治文学の概観」
...彼れは夙くから一廉の狭斜通であつたらしく想像されるが...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...一廉(いっかど)其道の巧者(こうしゃ)になったと思う者もあろう...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...二度褒美(ほうび)を貰(もら)い少し名前が売れ出したと思うともう一廉(ひとかど)の大家(たいか)になりすました気で大(おおい)に門生を養い党派を結び新聞雑誌を利用して盛んに自家吹聴(ふいちょう)をやらかす...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...われ人(ひと)共に公禄(こうろく)を食(は)むもの及ばずながらそれぞれ一廉(ひとかど)の忠義を尽(つく)さねばなるまいと...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...後年禪宗界に於て一廉の根據地と目せらるゝに至りたる美濃の如きも其禪宗を接受したのは遙かに關東殊に相武よりも後くれ...
原勝郎 「鎌倉時代の布教と當時の交通」
...一廉の大将面しておさまっているふうだから...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...官僚の砥石で研ぎあげられた一廉の練達だから...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...世間は俺を一廉の働手にしてしまつた...
平出修 「瘢痕」
...個性を考へるといふことは丁とか戌とかに匹敵する惡業のやうに狎らされてゐたので「君の意見はそれはそれとして一廉であり……」とか「意志の自由に於いて……」とか「誰が誰を掣肘出來るものか……」などといふ言葉が悉く絶大なる美しい響きを持つて感ぜられた...
牧野信一 「文學的自叙傳」
...そんな愛嬌知らずで充分な人気があつたところを見ると一廉の美しい花には相違なかつたのだ...
牧野信一 「るい」
...兎(と)に角(かく)一廉(ひとかど)の大工場になった...
森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
...370一廉(ひとかど)の事を知っていると云う自惚(うぬぼれ)もなく...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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