...……一夏(あるなつ)...
泉鏡花 「霰ふる」
...私が伊豆の三島の知り合いのうちの二階で一夏を暮し...
太宰治 「満願」
...一夏過したお増の様子がめっきり変っていた...
徳田秋声 「爛」
...こゝに一夏を過すM...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...私はこの一夏は暑さを避けるより...
外村繁 「澪標」
...一夏中被つたカンカン帽子が黄に焼けて...
林芙美子 「清修館挿話」
...新びいどろ学士は蒸殺しになりさうな板の上で昼寝と読書の一夏をすごした...
原民喜 「氷花」
...実は、これを余り手荒く扱うと、窓枠全体がそのままどなたかの頭の上に落ちて来る危険があるのであって、現に昨年の夏も、下宿の独逸(ドイツ)人がこの窓枠の下敷きになって、一夏中、片足を使えないほどの手ひどい目にあったこと……折柄(おりから)、窓のそとは満潮(グラン・マレ)で、あぶくを載せた上潮の(うねり)が、くどくどと押し返し、巻きかえし、いつ果てるとも見えない有様であった...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...薄い舌でべらべら口から出任せのを一夏しやべり続けた罰に凡ての木の葉を打ち落してしまふぞといふ木枯しの妄語戒は厳しい...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ここに掘立小屋のやうなものを建てて一夏を過ごしたことから筆を起すつもりでゐますが...
堀辰雄 「匈奴の森など」
...私は天津に行って藤井の官舎で一夏暮しましたが...
三浦環 「お蝶夫人」
...東北地方では苗代の跡へは稲を作らないで一夏全く遊ばせてあるのが幾らも目につくが...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...もつたい無い事するねえ! あれでも置いときや未だ結構一夏位着れるのにさ...
三好十郎 「地熱」
...その一夏に幾度繰かへされたことであらうか...
三好達治 「一點鐘」
...また心配して待ちこがれる一夏! そしてヤンも深靴の先きでせつかちに床をこつ/\させて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...趙子龍(ちょうしりゅう)一夏侯淵の首を獲たことは...
吉川英治 「三国志」
...一夏、笛吹川の畔(ほとり)で、溺(おぼ)れかけている少女を救ったことがある...
吉川英治 「夏虫行燈」
...歌書の著述などを書いていた一夏もあるので...
吉川英治 「宮本武蔵」
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