...いや、弱りましたぜ、一夏は...
泉鏡花 「女客」
...しかるに一夏を越して秋に這入(はい)っても...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...一夏借りたのであったが...
橘外男 「雷嫌いの話」
...こゝに一夏を過すM...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...(明治四十年 十一月)夏の頌一夏は好い...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...珍しいこともあるもんね」この一夏を鳴きあかしたきりぎりすは...
外村繁 「日を愛しむ」
...郷里の家で一夏を過したことがあったからである...
外村繁 「澪標」
...私はこの一夏は暑さを避けるより...
外村繁 「澪標」
...店は全く人の手に歸して私が最初の休暇に歸省した時には小さな假住居に一夏を過しました...
長塚節 「教師」
...ここへ来て一夏気楽に暮したいと思った...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...私はそのホテルで一夏厄介になつて...
堀辰雄 「四葉の苜蓿」
...万年草古老伝に此草は当山の霊草にて遼遠に在て厥死活弁じがたきをば此草を水盆に浮るに生者なれば青翠の色を含み若没者なれば萎めるまゝなりとぞ今現に検するに御廟の辺及三山の際に蔓生す毎年夏中是を摘みて諸州有信の族に施与の料とせり其長四五寸に過ぎず色青苔の如し按ずるに後成恩寺関白兼良(かねら)公の尺素往来(せきそおうらい)に雑草木を載て石菖蒲、獅子鬚、一夏草、万年草、金徽草、吉祥草といへり爾者此草当山のみ生茂するにもあらず和漢三才図会に本草綱目云玉柏生石上如松高五六寸紫花人皆置盆中養数年不死呼為千年柏万年松即石松之小者也(中略)五雑組(ござつそ)云楚中有万年松長二寸許葉似側栢蔵篋笥中或夾冊子内経歳不枯取置沙土中以水澆之俄頃復活或人云是老苔変成者然苔無茎根衡嶽志所謂万年松之説亦粗与右同紀州高野深谷石上多有之長二寸許無枝而梢有葉似松苗といひ和語本草にも玉柏石松を載たれども其味のみを弁じて貌姿を論せず良安(りょうあん)本草綱目の万年松を万年草として当山万年草に霊異あることを草性を知らずといへるは嗚呼の論のみ彼万年松は紫花あり此万年草花なし爾者雑組衡嶽志にいふ万年松は別の草ならん尺素往来にいふ万年草は当山の霊草ならん又当山にても当時蔓延滋茂せるは彼万年松の類にて右老伝の霊草は御廟瑞籬の内に希に数茎を得といふ説もあれば尚其由を尋ぬべしまた同書物産の部は小原良直(おばらよしなお)(八三郎)の書いたものだがその中に左の記がある...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...一夏の夕暮であった...
松本泰 「緑衣の女」
...一夏大磯の妙大?寺という寺の座敷をかりて弟たちとつれて行って貰ったことがあって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...麓の村へ着いて頼んだ案内者は僕等がその山荘に一夏を過ごすと聞いて非常に恐怖の表情をした...
村山槐多 「殺人行者」
...彼女の生涯のもう一夏をむだに送つてしまはなければならないであらう‥‥階下の戸が開いた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...けれど、一夏、岩木川の氾濫(はんらん)があると、全民は打ちのめされて、また二年か三年は、火あぶりになっても税も脂気(あぶらけ)も出ないという領民がたくさん出来た...
吉川英治 「鬼」
...一夏目先生の大きい死にあってから今日は八日目である...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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