...兎に角避暑地たるクウリンは一夏(いちげ)を消するのに足る処らしい...
芥川龍之介 「長江游記」
...先ず一夏を麓の人々に可愛がって貰って送り...
石川欣一 「可愛い山」
...氣に入つたとなると富士山へ一夏に三度...
竹久夢二 「砂がき」
...「是は阿波の鳴門に一夏(いちげ)を送る僧にて候...
太宰治 「お伽草紙」
...物心ついてこの方、たった一夏でも、雷から解放された夏なぞというものは、私にはかつて覚えなかったが、この夏だけは私にとっては、まったく、雷を意識の外に逐(お)いやった、極楽のごとき夏だった...
橘外男 「雷嫌いの話」
...私はこの一夏は暑さを避けるより...
外村繁 「澪標」
...ここへ来て一夏気楽に暮したいと思った...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...薄い舌でべらべら口から出任せのを一夏しやべり続けた罰に凡ての木の葉を打ち落してしまふぞといふ木枯しの妄語戒は厳しい...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...一夏ぢゆうこつそり咲いてゐるそのホテルの裏のさるすべりの木の傍らに...
堀辰雄 「生者と死者」
...万年草古老伝に此草は当山の霊草にて遼遠に在て厥死活弁じがたきをば此草を水盆に浮るに生者なれば青翠の色を含み若没者なれば萎めるまゝなりとぞ今現に検するに御廟の辺及三山の際に蔓生す毎年夏中是を摘みて諸州有信の族に施与の料とせり其長四五寸に過ぎず色青苔の如し按ずるに後成恩寺関白兼良(かねら)公の尺素往来(せきそおうらい)に雑草木を載て石菖蒲、獅子鬚、一夏草、万年草、金徽草、吉祥草といへり爾者此草当山のみ生茂するにもあらず和漢三才図会に本草綱目云玉柏生石上如松高五六寸紫花人皆置盆中養数年不死呼為千年柏万年松即石松之小者也(中略)五雑組(ござつそ)云楚中有万年松長二寸許葉似側栢蔵篋笥中或夾冊子内経歳不枯取置沙土中以水澆之俄頃復活或人云是老苔変成者然苔無茎根衡嶽志所謂万年松之説亦粗与右同紀州高野深谷石上多有之長二寸許無枝而梢有葉似松苗といひ和語本草にも玉柏石松を載たれども其味のみを弁じて貌姿を論せず良安(りょうあん)本草綱目の万年松を万年草として当山万年草に霊異あることを草性を知らずといへるは嗚呼の論のみ彼万年松は紫花あり此万年草花なし爾者雑組衡嶽志にいふ万年松は別の草ならん尺素往来にいふ万年草は当山の霊草ならん又当山にても当時蔓延滋茂せるは彼万年松の類にて右老伝の霊草は御廟瑞籬の内に希に数茎を得といふ説もあれば尚其由を尋ぬべしまた同書物産の部は小原良直(おばらよしなお)(八三郎)の書いたものだがその中に左の記がある...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...すこしはさっぱりした一夏を送らせてあげたいと思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その一夏に幾度繰かへされたことであらうか...
三好達治 「一點鐘」
...私はたまたま越中城端(じょうはな)の別院で一夏を送り...
柳宗悦 「四十年の回想」
...一夏中を通して立てておくというに反して...
柳田国男 「年中行事覚書」
...私はこの一夏西洋史を読み返し...
横光利一 「静安寺の碑文」
...美しい眼に一夏ぢうの思ひを漲らせてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...また心配して待ちこがれる一夏! そしてヤンも深靴の先きでせつかちに床をこつ/\させて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...けれど、一夏、岩木川の氾濫(はんらん)があると、全民は打ちのめされて、また二年か三年は、火あぶりになっても税も脂気(あぶらけ)も出ないという領民がたくさん出来た...
吉川英治 「鬼」
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