...又去年の一夏、健が到頭古袷を着て過した事、それで左程暑くも感じなかつたといふ事なども、渠自身の口から聞いてゐたが、村の噂はそれだけではなかつた...
石川啄木 「足跡」
...今度はまた信吾の勧めで一夏を友の家に過す積りの定(きま)つた職業(しごと)とてもない...
石川啄木 「鳥影」
...一夏(ひとなつ)は一人旅(ひとりたび)で...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...……一夏(あるなつ)...
泉鏡花 「霰ふる」
...一夏(ひとなつ)男の友達五六人と...
薄田泣菫 「茶話」
...忘れぬまみ一夏野(なつの)の媛(ひめ)の手(て)にとらすしろがね籠(がたみ)...
薄田淳介 「白羊宮」
...一夏かれは其処から此処へと歩いて行った...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...一夏脚気(かつけ)の出たとき...
徳田秋聲 「或売笑婦の話」
...ここで一夏一緒に暮らしてみたいように囁(ささや)くかと思うと...
徳田秋声 「仮装人物」
...一夏の燃ゆる陽ざしが あるとき ためらいがちに芙蓉の葉うらに縺れていた 燃えていった夏 苦しく美しかった夏 窓の外にあったもの死別れまたたちかえってくるこの美しい陽ざしに今もわたしは自らを芙蓉のようにおもいなすばかり彼は鏡台とか箪笥とか...
原民喜 「遥かな旅」
...そんなじゃ東京へでも出て一夏送ったら暑い暑いで死んで仕舞いますよ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...現にわたしがレーニングラード附近に一夏暮した時のことだ...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
...麓の村へ着いて頼んだ案内者は僕等がその山荘に一夏を過ごすと聞いて非常に恐怖の表情をした...
村山槐多 「殺人行者」
...一夏潮風に吹かれて...
森林太郎 「身上話」
...一夏目吉信(なつめよしのぶ)(次郎左衛門(じろうざえもん))が駈けつけたとき...
山本周五郎 「死處」
...美しい眼に一夏ぢうの思ひを漲らせてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...一夏から秋までは...
吉川英治 「鬼」
...鹿沼(かぬま)の、博奕打(ばくちうち)、玉田屋の酉兵衛(とりべえ)は、この一夏で、日光の出開帳(でかいちょう)から上げた寺銭の大部分を、今、連れてゆく、孫のようなお八重の身代金に、投げだしたといわれていた...
吉川英治 「無宿人国記」
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