...一口に謂へば、叔父の家は夜と黄昏との家であつた...
石川啄木 「刑余の叔父」
...一口に云えば食客の待遇である...
伊藤左千夫 「浜菊」
...まず感じは一口に言って豪奢(ごうしゃ)というのが一番当て嵌(はま)っているように思われた...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...飲んで見ると気もちが宜いから一口に飲んでしまった...
田中貢太郎 「庭の怪」
...「一口に田舎々々と非(くさ)すけれど...
徳田秋声 「あらくれ」
...そして自分の気持を何か一口に云ってやりたかったが...
豊島与志雄 「道化役」
...一口に先秦時代といつても...
内藤湖南 「染織に關する文獻の研究」
...それは一口に房総半島とはいうけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...まあ一口に云うと獰猛(どうもう)だ...
夏目漱石 「坑夫」
...東風子は菓子皿の中のカステラをつまんで一口に頬張(ほおば)る...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...こうしてめいめいがはなはだしく貧弱な防寒具の下(もと)に、はなはだしく寒い、寂しい、荒涼たる、一口にいえば、といっても、いいようのない、そうだ、それは「死」にいやでも応でも考えを押しつけねば置かない関係、すなわち、プロレタリア対寒冷! の、本能的の寂しさの中を、四人は、港の街(まち)のさびしい通りの、明るい二階で暖かいお茶と、お菓子とが待ってることを思って急いで行くのであった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...一口に云へば、獨立した人間がしなければならないやうに生活したのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...何故ならかういふ場合に眼の前に浮ぶものはたゞぼんやりとした美しい虹で、――若しそれを花と思へ、と云はれゝば花とも思へるし、美しい景色と思へ、と云はれゝばさうも思へるので、――一口に何だ、と返答することが出来ないのはあたりまへです...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...『新宿は』と一口にいったものだ...
宮島資夫 「四谷、赤坂」
...妾(わたし)の故郷の天は一口に言へば...
宮原晃一郎 「子良の昇天」
...一口にたっぷり口に入れてゆっくりかむことは大変よいそうです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一口には云えませんが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一口に言うなれば...
森於菟 「オフ・ア・ラ・コック・ファンタスティーク」
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