...即ち綿密周到の点に於て私という一介の書生に劣って居ったことを...
江戸川乱歩 「一枚の切符」
...一介の沙門(しゃもん)となり...
高神覚昇 「般若心経講義」
...のちには一介の支那メシ屋と化した...
高見順 「いやな感じ」
...なかなか一介の大工さんが志を立て...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...私は某氏も云う如く一介の小説作者であって古文書の知識は皆無であるから...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...そこは一介の左兵衛佐(すけ)の方が気楽だと...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...一介の移民だからな...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「追放されて」
...あなたは一介の『永遠の夫』にすぎんと思ってたんだが...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...何事をも為さぬ・一介のディレッタントである...
中島敦 「光と風と夢」
...時勢に適応するには余りにのろまな・人と交際するには余りに臆病な・一介の貧書生...
中島敦 「狼疾記」
...萩原裕佐は最後迄決して切支丹ではなかつたのである! 彼は只一介の南蛮鋳物師にすぎなかつたのである!(一九二二年一一月二九日)附記寛文の頃長崎古川町に萩原といふ南蛮鋳物師がゐた事...
長與善郎 「青銅の基督」
...一介の町の目明(めあか)しにする...
野村胡堂 「胡堂百話」
...何ひとつ取り得のない一介の国際的ルンペン...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...こちらは一介の国際的ルンペン...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...何の勢力もない一介の武人に過ぎない...
吉川英治 「新書太閤記」
...私はまだ青くさい一介の若輩だし...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そう高く買っていない彼ではあるが――今日という今日――佐々木小次郎という一介の若者に対して...
吉川英治 「宮本武蔵」
...だが武蔵は、それよりも沢庵という友、安房守(あわのかみ)という知己、新蔵という好ましい青年などが、自分のような、一介の旅人に、席を温めて待ってくれる志のほうに、遥かなありがたさと、人間の世の限りなき隣の恩を思わせられた...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索