...俯仰天地之间,不及下自名一介笔...
...の如き者に至りては、三生の賤士、一介の窮儒、左枝右梧(さしうご)するも、未だ児啼女哭(じていじょこく)を免れず...
田中貢太郎 「令狐生冥夢録」
...そこは一介の左兵衛佐(すけ)の方が気楽だと...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...ただいま彼は両手を縛られてる――そしてただ一介の詩人たる著者は...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...一介の茶坊主より立身して...
直木三十五 「南国太平記」
...然し我輩に云わせると見ず知らずの一介の青年たる我輩の作に当時劇界を二分して新派の王者の地位にいた高田実が異常の注目を払っていたというのは必ずしも偶然とは思われない理由がある...
中里介山 「生前身後の事」
...萩原裕佐は最後迄決して切支丹ではなかつたのである! 彼は只一介の南蛮鋳物師にすぎなかつたのである!(一九二二年一一月二九日)附記寛文の頃長崎古川町に萩原といふ南蛮鋳物師がゐた事...
長與善郎 「青銅の基督」
...格別な家柄でもなく一介の土木技手上りに過ぎない貧乏な作家と...
南部修太郎 「氣質と文章」
...一介の自分が不当の財を受け得たのか...
橋本五郎 「自殺を買う話」
...完全に無縁な一介の文筆家であった...
服部之総 「福沢諭吉」
...一介の雑報記者ずれを皇帝の換玉にして一時を糊塗しようなんて...
久生十蘭 「魔都」
...守衛は一介の患者に何事かとちょっと不信がったが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...私は一介の諜報部員です」カラハミが飛び上がって...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...そういうことを生活の手段としている一介の学校教師といえども...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...失意の漂泊(さすらい)をつづけていた一介の浪人は...
吉川英治 「三国志」
...何の勢力もない一介の武人に過ぎない...
吉川英治 「新書太閤記」
...従来どおり一介の武将羽柴筑前で通していたのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...まだ一介(いっかい)の若僧(にゃくそう)にすぎない範宴が...
吉川英治 「親鸞」
...光秀がまだ名もない一介の漂泊人(ひょうはくじん)として...
吉川英治 「日本名婦伝」
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