...一 海の狼諸君は御記憶であろうか? 昨夏七月二十二日ブエノスアイレス発ユーピー特電が突如倫敦(ロンドン)各紙に第一声を送って以来、エーピー、ロイター、タス、アヴァス等世界の大通信社の触手という触手は一斉に色めき立って、地元拉丁亜米利加(ラテンアメリカ)諸国はもちろん、全欧米を熱狂と興奮の坩堝(るつぼ)と化せしめ、世界学界に解けざる謎を与えて輿論(よろん)は囂々(ごうごう)として、今なお帰趨するところを知らざる大事件のあったということを!今世紀前世紀を通じ戦争を除いてはここ二、三百年間、まずこれほどに異常なる衝撃(ショック)とセンセーションを欧米人士に与えたものはなかったであろうとさえ、言われるくらいまでに最大なる世紀の話題(トピック)であったが、もちろん多数の読者諸君のうちには外電によってすでに大体の輪郭を御存知の方もあり、あああれかと頷(うなず)いていられる方も多かろうと思われるのであるが、そういう諸君にはしばらく眼をつぶっていただいて、私はまず近着各紙を渉猟して、その中から比較的信憑(しんぴょう)するに足ると思わるる部分だけを蒐集(しゅうしゅう)し、これを基礎としてこの事件の全貌をできるだけ詳細に、そしてできるだけ確実にお伝えしようと考えている...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...ロイター通信機の前に書記官T氏を交へて數人の人が...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...しばらくは作曲家ロイターの監督の下に音楽の修業を積んだ...
野村胡堂 「楽聖物語」
...電送通信もロイタース・エコノミック・サーヴィスも帯封のまま脇卓の上に積みあげ...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...「ロイター通信」のコックスという特派員がスパイ容疑で逮捕され...
久生十蘭 「ノア」
...駅へ行く途中でロイターストラーセに寄って某氏に会え...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
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