...彼の音信に依(よ)れば、古都北京は、まさしく彼の性格にぴったり合った様子で、すぐさま北京の或る大会社に勤め、彼の全能力をあますところなく発揮して東亜永遠の平和確立のため活躍しているという事で、私は彼のそのような誇らしげの音信に接する度毎(たびごと)に、いよいよ彼に対する尊敬の念をあらたにせざるを得なかったわけであったが、私には故郷の老母のような愚かな親心みたいなものもあって、彼の大抱負を聞いて喜ぶと共に、また一面に於いては、ハラハラして、とにかくまあ、三日坊主ではなく、飽(あ)かずに気長にやって下さい、からだには充分に気をつけて、阿片などは絶対に試みないように、というひどく興醒(きょうざ)めの現実的の心配ばかり彼に言ってやるので、彼も面白くなくなったか、私への便りも次第に少くなって来た...
太宰治 「佳日」
...少なくともこのハラハラしている神経質な臆病そうな...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...附添の者はハラハラしていると...
中里介山 「大菩薩峠」
...私(わたし)は度毎(たびごと)にハラハラして彼(かれ)の脊中(せなか)を叩(たた)き著(つ)けた...
南部修太郎 「一兵卒と銃」
...此方は一日ハラハラして居ましたぜ」「それは氣の毒だ」平次は一向氣の毒さうにもしません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尻が割れさうでハラハラして居ることでせうね」「ところで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...自分の方が終日ハラハラしていた...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...鼓村さんは息子が踊りで叱(しか)られるのまでハラハラして...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...たえずハラハラしていなくてはならない...
久生十蘭 「虹の橋」
...彼女が自身のことにうつかり敬語でも使はなければ好いが――などゝハラハラしてゐた...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...ハラハラしてゐるうちに...
牧野信一 「春」
...そっちの浴衣をだしてくんねえ」舟べりでどうなることかとハラハラしていた寂しい美しい横顔へまた鉄火に呼びかけた...
正岡容 「小説 圓朝」
...甚伍左は無言で時々腰を浮かしたりしてハラハラしている...
三好十郎 「斬られの仙太」
...腹が立つからよ! なんてえ話のわからねえ連中だあ!そめ (ハラハラして)いえ...
三好十郎 「鈴が通る」
...見もしないでべりべり破って竈の火にくべてしまう)ざまを見ろ!(男二それらの書類の燃えて行くのを見てハラハラして思わず走り去ろうとするが隊士を恐れて走り去れず...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...甚伍左は無言で時々腰を浮かしたりしてハラハラしている...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...その小人が、いまにも見つかりはしないかと、ハラハラして、じっとかたくなっていたのです...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...ハラハラしているだけだった...
吉川英治 「大岡越前」
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