...此世の中には最早何の欲望をも殘さゞりしならん...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...それはたゞ一つの私達に許された道なのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...みんなちゞみ上(あが)つて...
鈴木三重吉 「湖水の鐘」
...――……私はあいかはらず片隅にちゞこまつてあるかなきかの生活をつゞけゐますが...
種田山頭火 「一草庵日記」
...・いかにぺんぺん草のひよろながく実をむすんだ・藪かげ藪蘭のひらいてはしぼみみんな去んでしまへば赤い月改作二句乞ひあるく道がつゞいて春めいてきた藪かげほつと藪蘭の咲いてゐた木の実ころころつながれてゐる犬へまんぢゆう...
種田山頭火 「其中日記」
...……(拾日)・郵便が来てそれから柿の葉のちるだけ・播きをへてふかぶかと呼吸する・昼ふかく落葉に落葉が落ちては・鳴いて鳴いてこほろぎの恋・何おもふともなく柿の葉のおちることしきり・ぢゆうわうにとんだりはねたり蝗の原つぱ・もろいいのちとして手のしたの虫・柚子の香のほの/\遠い山なみ・砂ほこりもいつさいがつさい秋になつた・生きてはゐられない雲の流れゆく・明日は死屍となる爪をきる・捨てたをはりのおのれを捨てる水・眼とづれば影が影があらはれてはきえる・水音のとけてゆく水音・死へのみちは水音をさかのぼりつつ(改)□正しく、たゞ正しく、そこから美しさも清らかさもすべて生れてくる...
種田山頭火 「其中日記」
...桃の花、菜の花、青麦、――日本は美しい!丹那トンネル、暗い音がつゞく...
種田山頭火 「旅日記」
...たゞ一人きりでゐる爺の姿は...
土田耕平 「天童」
...八五郎の手を掻(か)いくゞるやうにバタバタと驅け出しましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...下女のお梅と下男の太吉はけゞんな顏を庭先に揃へました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...革命期のブルジヨアの文学であるといふのと同じ意味に於てゞある...
平林初之輔 「文学方法論」
...毎日毎日いやな雨がびしよ/\とふりつゞき...
平山千代子 「お泊り」
...公然と世間にならふ必要があるのです?」「ジュリアの髮は生れつき縮(ちゞ)れて居ります...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...」「夢も理屈もない――たゞ...
牧野信一 「R漁場と都の酒場で」
...たゞ私はひとりの酌女に向つて...
牧野信一 「疑惑の城」
...そして伯孝の蘭軒の門人であるべきことが略(ほゞ)明なるに至つた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...たゞ一度だけ、彼女はヤンが氷島から歸つてから、見たきりであつた、それは皆してシルストルの入營するのを見送りに行つた時のことであつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...某家の所望の値で――それがたゞ未亡人にはせつかく何のたそくにもならないも同樣な値ではあつたが...
吉川英治 「折々の記」
便利!手書き漢字入力検索