...」飛騨はわびしくてならぬ...
太宰治 「道化の華」
...茶店の店頭に並べられて在る絵葉書を、おとなしく選んでゐるもの、佇(たたず)んで富士を眺めてゐるもの、暗く、わびしく、見ちや居れない風景であつた...
太宰治 「富嶽百景」
...だるく、ものうく、わびしく、せつなく...
種田山頭火 「行乞記」
...・土の虫のちぎられたまゝ土にもぐる月にむいて誰をまつとなくくつわむしふけてあぶらむしがはふだけ・住みついて煤のおちるにも(改作)十月十六日夜あけのしぐれはさびしくわびしく身にしみた...
種田山頭火 「其中日記」
...まづしく、つゝましく、わびしく...
種田山頭火 「其中日記」
...停電、わびしく寝る...
種田山頭火 「旅日記」
...今まで明るかつた海山もわびしく辛くなつて来るやうな気がした...
田山録弥 「島からの帰途」
...古い庭の中はひっそりとわびしく...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...われわれ祖先以来のあらゆるわびしくさびしい生活の民族的記憶がよびさまされて来る...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...はすにわびしくそこへ映った彼女の影法師...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...炬燵(こたつ)の彼方(かなた)に物わびしく控えていて...
中里介山 「大菩薩峠」
...もはや夕陽がわびしく甲州街道の上に落ちゐる頃であつた...
中原中也 「その一週間」
...わびしく哀れな姿です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...家具はたいがい大がかりで、わびしく、古びて、ぼろぼろにこわれかけていた...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...車の中では互いに顔が見えなくなるのをわびしく思った...
水野葉舟 「遠野へ」
...段々わびしくなるのを見て...
水上滝太郎 「遺産」
...命婦はわびしく思っていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それを世の中の最もわびしく貧しかった時代にまで...
柳田国男 「海上の道」
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