...木の葉をゆする風につれて...
有島武郎 「幻想」
...強請(ゆする)んじゃありません...
泉鏡花 「歌行燈」
...魂をゆするような熱い息づかいが近よってくるのを感じたのだった...
海野十三 「疑問の金塊」
...怪鳥は絹(きぬ)をさくようなさけび声をあげるし、恐竜もまただしぬけのしょうとつにびっくりしたと見え、巨体をゆすると、ざんぶりと海水の中へ身を投げた...
海野十三 「恐竜島」
...病気を種に親をゆするような事を覚えたのはあの時だったと思うと...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...木枯の風が庭の大樹(だいじゅ)をゆする響に...
永井荷風 「狐」
...玉蜀黍をゆする風の音につれて道端に鳴く蟲の音が俄に耳立つて來るので...
永井荷風 「羊羹」
...「これより見え隠れに二人が駕籠の跡を追い、高橋が乗物の離れたる折を見て清川を血祭りにする、もしその折を得ずば二人もろとも」「よし、それも一策じゃ、しからばこの仕事の采配(さいはい)を土方氏、貴殿に願おうか」芹沢にいわれて土方歳三は言下(げんか)に引受け、「承知致した、貴殿ならびに近藤氏はこれに待ち給え、仕留(しと)めて参る」「総勢十三人、よいか」「よし」このとき近藤勇は、ふと一座の一隅(いちぐう)を振返って、「吉田、吉田氏」少し酔うてさきほどから眠っていたらしい一人を呼びかけて、押しゆすると、むっくり起きてまばゆき眼を見開いたのは机竜之助でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...こいつはゆするべき筋があると睨(にら)んだ時に限るのである...
中里介山 「大菩薩峠」
...竹はうるさげにさらさら身をゆする...
長塚節 「太十と其犬」
...明(あか)らさまにはゆすることも出来ず...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...要所の手くばりもあらましここにすみぬれば手代が下知の一聲に家臺(やたい)をゆする物音やたまたま晝の閑寂に庭の椿の落つる頃...
萩原朔太郎 「煤掃」
...突拍子(とっぴょうし)な音を立てて肩をゆする...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...あんなに大きくあゝやっぱり淋しい一人旅だ!腹の底をゆするような...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...その響きは胸に痛みをおぼえさせるのだった――少なくとも一瞬のあいだは胸をゆするような鐘の音であった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...肩を左右にゆするような体癖で重い跫音を立てながら部屋へあがった...
「海流」
...今の音は虫が揺れ椅子をゆする音でした...
夢野久作 「キキリツツリ」
...あらしの吠えに似たようなものが夜をゆする...
吉川英治 「私本太平記」
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