...ぼろぼろに腐った古めかしい板の壁があった...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...鼻にかかったなまめかしい声が聞えてきた...
海野十三 「二、〇〇〇年戦争」
...いかにもなまめかしい足もとを想わせる...
高見順 「如何なる星の下に」
...まるで古めかしい画像のように朦朧(もうろう)としたものもありましたけれど...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...橋梁はまた遠からず近世の都市より渡船(わたしぶね)なる古めかしい緩(ゆるや)かな情趣を取除いてしまふであらう...
永井荷風 「水 附渡船」
...一つには何処へも出たことのない女の身にはなまめかしい姿の瞽女に三味線を弾かせて夜深までも唄わせることがせめてもの鬱晴しであったからである...
長塚節 「太十と其犬」
...斯う艶めかしい合唱を響かせました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...艶めかしい墓場風は柳を吹いてゐますどこにこんな薄暗い墓地の景色があるのだらう...
萩原朔太郎 「青猫」
...艶(えん)に妖(あや)しく媚(なま)めかしいエロチシズムとを...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...あの古めかしい音樂の音色はどこに...
萩原朔太郎 「宿命」
...咲きかたや色の今めかしい品(ひん)のない花だが...
長谷川時雨 「紫式部」
...私はヴィナスを抱くレダのなまめかしい樣子を見て...
林芙美子 「あひびき」
...いまは眼の前に、なまめかしい、白い萩が咲いているけれど、いまに冬が来れば、この花も茎もがらがらに枯れてしまう...
林芙美子 「新版 放浪記」
...こんな古めかしい見世物などに材料をとらないで...
平林初之輔 「新人の諸作一括」
...年寄や婦子供のみの古めかしい屋根の下に行灯や雪洞の光りのまはりで寂しく蟋蟀のやうな日夕を送り迎へてゐた者共にとつては...
牧野信一 「熱海線私語」
...媚(なま)めかしい声なるに於いてをや……といったような第六感がピインと来たから...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...ただ時々古めかしい幼児のことを追想して涙を流すことだけだった...
横光利一 「上海」
...女優のNは艶(なま)めかしい嘔吐(おうと)を空中に吐いた...
吉行エイスケ 「飛行機から墜ちるまで」
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