...齒の疎(まばら)な口を喘(あへ)ぐやうに大きく開けて居ります...
芥川龍之介 「地獄變」
...睫毛(まつげ)の疎(まばら)な目をつぶって...
芥川龍之介 「妖婆」
...ばらばらばら!火の粉かと見ると、こはいかに、大粒な雨が、一粒ずつ、粗(あら)く、疎(まばら)に、巨石(おおいし)の面(おもて)にかかって、ぱッと鼓草(たんぽぽ)の花の散るように濡れたと思うと、松の梢(こずえ)を虚空から、ひらひらと降って、胸を掠(かす)めて、ひらりと金色(こんじき)に飜って落ちたのは鮒(ふな)である...
泉鏡花 「瓜の涙」
...まばらな街燈の光も薄暗く...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...正造は津田と共に聴衆のまばらなうす暗い二階へ来て傍聴していた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...もう客足が斑(まばら)になってそこには前のすぐストーブの傍のテーブルに...
田中貢太郎 「青い紐」
...ふと右側のまばらな杉林の中に...
田中英光 「箱根の山」
...白楊(やなぎ)の緑葉がまばらに並んでいるが...
田山花袋 「田舎教師」
...こめかみは落ち窪んで、鬚はまばらで、頭の毛は長い...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「グーセフ」
...夏の繁りもなんとなくまばらで...
寺田寅彦 「柿の種」
...まばらな街燈の光が...
豊島与志雄 「霧の中」
...菊花の鉢がまばらに竝べられ...
豊島与志雄 「化生のもの」
...左手にはまばらに木が生えたなだらかに上る傾斜があった...
A. ビアス A.Bierce The Creative CAT 訳 「チカモーガ」
...まばらに生えていて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...向う岸の灯がまばらに...
山本周五郎 「落葉の隣り」
...――そこは赭土(あかつち)に雑草がまばらに枯れているだけで...
山本周五郎 「季節のない街」
...そこらのまばらな宵の燈(あかり)を見ると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そしてまばらな家の門や垣を覗いては恐々と声をかけてみる程度しか出来なかった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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