...用事があってまだ劇場へ来ていないということだった...
海野十三 「恐怖の口笛」
...そこにまだ殘つてゐるやうな氣がしてゐたからであります...
太宰治 「國技館」
...庄谷の方では房一が二三間の所に近づいてもまだぢろぢろ眺めてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...ふわりと浮んだままだ...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...ありやうはまだ一部の句集も熟読して居なかつたのである...
内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...「まだお火がありますから」とお銀様は火鉢の灰を掻(か)き起しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...まだ我慢もできるが...
中里介山 「大菩薩峠」
...これまたその手つきのあざやかさに、またも関守氏の舌を捲かせ、「うまいもんだ」と言って、思わず感歎すると、がんりきは、こんなことは小手調べの前芸だよと言わぬばかりの面をして、「本来は、この壺皿を左の手にもって、右で振込むやつをこう受取るんでげすが、手が足りねえもんですから、置壺(おきつぼ)で間に合せの、まずこういったもので、パッと投げ込む、その時おそし、こいつをその手でこう持って、盆ゴザの上へカッパと伏せるんでげす、眼に見えちゃだめですね、電光石火てやつでやらなくちゃいけません」左で為(な)すことを右でやり、右で行うことを、また引抜きで左をつかってやるのだが、一本の手をあざやかに二本に使い分けて見せる芸当に、関守氏が引きつづき感心しながら、膝を組み直し、「まあ、委細順序を立ててやってみてくれ給え、ズブの初手(しょて)を教育するつもりで、初手の初手からひとつ――いま言ったその盆ゴザというのは、いったいどんなゴザなんだ、バクチ打ち特有のゴザが別製に編ましてあるのか、いや、まだそのさきに、この場では湯呑が代用のその本格の壺というやつの説明も願いたい」「壺でげすか、壺は、かんぜんよりでこしらえた、さし渡し三寸ばかりのお椀(わん)と思えば間違いございません、雁皮(がんぴ)を細く切ってそれを紙撚(こより)にこしらえ、それでキセルの筒を編むと同じように編み上げた品を本格と致しやす、それから盆ゴザと申しやしても、特別別製に編ましたゴザがあるわけではございません、世間並みのゴザ、花ゴザでもなんでもかまいませんよ、それを賭場(とば)へ敷き込んで、その両側へ丁方と半方が並びます、そうすると壺振が、そのまんなかどころへ南向きに坐り込むのが作法でござんさあ」「まあ、待ち給え、いちいち実物によって……時節柄だから代用品で間に合わせるとして、ここにゴザがある」と言って関守氏は、つと立って、なげしの上から捲き込んだ一枚のゴザを取り出して、それをがんりきの前で展開しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はまだ学生であったので...
中谷宇吉郎 「寺田寅彦の追想」
...まだ公刊されていない...
原田義人 「「世界文学大系58 カフカ」年譜」
...いつも私達はまだ眠いのに目を覚ましてしまう程だが...
堀辰雄 「卜居」
...Bが凝つとまだこつちを見てゐた...
牧野信一 「好日の記」
...エスさまだよ、やっぱし片倉君は! 天にまします!(二、三の笑声)声二 進行々々!司会 (困って、それらの声をもみ消すように)いや、それは、それとして――つまり、問題は、そんな事じゃなくなって、つまり、われわれ勤労者が今後のことをやって行くについてだな、正しく平和的にわれわれの生活と生産を守って行くについての、この、参考にするために片倉君の意見というものを聞きたいので――ねえ片倉君!友吉 え?(あちこちからの声のためにキョトキョトと混乱して)はあ、あの、たしかに、あの、働らく人間が安心して働いて行けるようにならないと、たしかに、ホントの平和は来ないと思うんです...
三好十郎 「その人を知らず」
...まだ親と認めないお扱いを受けるのに悲観されます」などと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「名医はまだ起きんのか?」ときいた...
矢田津世子 「女心拾遺」
...両方の眼をこすって見るとハラムはまだ妾の前に頭を下げている...
夢野久作 「ココナットの実」
...まだその時代には...
吉川英治 「江戸三国志」
...――暗然と、顔を見あわせて、『ああ、美味(うま)そうな……』と、握飯の皿へ、本能的にしがみついて、音をたてて食べているわが子、まだ、五歳の格太郎を、夫婦で、じっと見つめていた...
吉川英治 「田崎草雲とその子」
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