...また、或郵便局長は、その山津浪だと聽いて、直ぐその妻子のからだにその氏名を縫ひつけかけたが、そのひまさへも無く、谷を破つて溢れて來た水は、猛烈な響きと共に、その家族ばかりではなく、すべての家も田地も村も川も、またたく間に、すべて卷込んでしまつたと云ふ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...私はまたたく間に...
梅崎春生 「腹のへった話」
...またたく間に、腹を越し、胸に及び、喉に迫った...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...それだけの丸太をまたたく間に灰にしてしまいました...
鈴木三重吉 「ぶくぶく長々火の目小僧」
...一月もまたたく間に経ってしまいましたが...
橘外男 「蒲団」
...またたく間になくしてしまうのであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...またたく間に、高い梢に、猿のように、腰をおろした...
火野葦平 「花と龍」
...その一二年の月日はまたたく間に過ぎた...
堀辰雄 「曠野」
...屹度またたく間に無くなつてしまふに違ひない...
正岡子規 「墓」
...人々は、みんな右往左往の状態で、棒片のようなものを手にしていたり、日本刀など片手にしているものもあったりして、またたく間に、巷は殺気立っていたのである...
山之口貘 「野宿」
...またたく間に神田橋から外濠(そとぼり)に沿って...
吉川英治 「江戸三国志」
...だがまたたく間に近づいてきたのを見ると...
吉川英治 「三国志」
...またたく間にこれを追いまくってしまった...
吉川英治 「三国志」
...――明け方までに攻め落せ!」ひたひたと濠際(ほりぎわ)に詰め寄せ、筏(いかだ)を組み、水を渡り、何千の兵が、またたく間に、石垣へ取りついた...
吉川英治 「新書太閤記」
...またたく間に、明智勢は柱を運んで濠へ渡し、戸板や屋根をもって濠を埋めた...
吉川英治 「新書太閤記」
...またたく間に伝わっていた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...そして、老公の調べに手伝いながら、反古書簡など、一通一通、披(ひら)いては渡し、またすぐ披いては渡し、またたく間に、見せ終った...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...またたく間に駈け通し...
吉川英治 「宮本武蔵」
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