...ぽかんとしてお土産一つ持たずに帰って来るなんて...
有島武郎 「或る女」
...その時、ぽかんと起きた、茶店の女のどろんとした顔にも、斉(ひと)しく即効紙(そっこうし)がはってある...
泉鏡花 「瓜の涙」
...そうして約一ヵ月ほどのあいだぽかんとして...
上村松園 「余齢初旅」
...ぽかんと花を眺めながら...
太宰治 「女生徒」
...僕の胸には借金の穴が黒くぽかんとあいてゐる...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...人間が見込を外(はづ)されてぽかんとしてゐる間に...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...フォーシュルヴァンはぽかんとしてしまった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...唐木(からき)の机に憑(よ)りてぽかんとした心裡(しんり)の状態は正(まさ)にこれである...
夏目漱石 「草枕」
...ただぽかんと座敷に坐(すわ)って山を眺めているという下女の観察を聴いた時...
夏目漱石 「明暗」
...そこで小さい太郎は、西の山の上に一つきり、ぽかんとある、ふちの赤い雲を、まぶしいものを見るやうに、眉を少ししかめながら、長い間みてゐるだけでした...
新美南吉 「かぶと虫」
...暫く空二は感嘆に似た気持でぽかんとしてゐた...
原民喜 「雲雀病院」
...教父(クーム)は口をぽかんとあけたまま...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...しかし惡い人間でないことは例のぽかんとしてゐる眼付にも...
室生犀星 「汽車で逢つた女」
...夢を見て覚めた瞬間はどんな英雄豪傑でもぽかんとしている...
夢野久作 「暗黒公使」
...ぽかんと独り一室におかれていた兼好は...
吉川英治 「私本太平記」
...ぽかんとした顔をしながら...
吉川英治 「新書太閤記」
...とまた、腹這(はらば)いになって、ぽかんと、庭面(にわも)を見たりしていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...ぽかんと口を開けて佇立(つった)った儘...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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