...――そんな記憶をぼんやり辿りながら...
芥川龍之介 「妖婆」
...けらいの ものは あきれかえって しばらく ぼんやりと一休(いっきゅう)さんの かおを みつめて いましたが...
五十公野清一 「一休さん」
...中からぼんやりとあかりが見えるのであった...
海野十三 「火星兵団」
...そんなことを心の片方でぼんやり考えながら...
高見順 「如何なる星の下に」
...眼だけが、まだ生きていて、巷(ちまた)の初夏のよそおいを、ぼんやり眺めて、路行く女のひと、男のひと、誰も私のように吹出物していないのが不思議でなりませんでした...
太宰治 「皮膚と心」
...芳太郎もぼんやりした顔をして...
徳田秋声 「足迹」
...――ぼんやり懐手をしているのが退屈でたまらなかったので...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...ぼんやり煙草(たばこ)をふかしてゐますと...
豊島与志雄 「シロ・クロ物語」
...……澄ちゃん何をぼんやりしているのですよ...
豊島与志雄 「変な男」
...ひどくぼんやりしていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...彼はやがて其竹竿を入口の廂へ立て掛けてぼんやりと立つて此の掛合の後半を聞いた...
長塚節 「芋掘り」
...私は我を忘れてぼんやりお前を見守つてゐた...
南部修太郎 「疑惑」
...私も茫乎(ぼんやり)立って大勢の人の向いて居る方を眺めますと...
西尾正 「陳情書」
...そしてそれほどぼんやりしてゐる自分自身を見出すことは...
堀辰雄 「不器用な天使」
...そしてぼんやり夢みながらすわっていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...月は落ちてしまって見えない、空はいちめんの星であるが、あたりはまだまっ暗で、原の南東にある源心寺の森がひどく遠く、ぼんやりと、墨でぼかしたようにかすんでいた...
山本周五郎 「橋の下」
...水面がぼんやり霧の中から浮んで見える...
吉江喬松 「霧の旅」
...もう酒にも倦いてぼんやり坐つてゐると...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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