...らいねんの春ゆきどけを待って岐阜の三七どのとしめしあわされ上方へせめのぼるように...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...いつも前山へのぼるときとは違つた方の道を指ざして...
土田耕平 「八の字山」
...その船から真黒な煙の立ちのぼるのを目にした...
コナンドイル 三上於莵吉訳 「グロリア・スコット号」
...絶えず表現主体の意識にのぼる事実であるにも拘はらず...
時枝誠記 「国語学と国語教育との交渉」
...室の中程から立ちのぼる異様な臭気に打たれました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「船長! 水夫見習いの安井昇(のぼる)ってのが負傷したのは知ってますか...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...むさぼるようなさぐりの色とを浮かべながら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...それより念入りなのは三代男の、十八番に六角堂、我が思ふ心の内は六つのかどと、田舍聲のつれぶし、南紀大和路札うちて、都へのぼる比は、初の秋の半、商人折を待て見世を構へ店を飾り、是おやかたと呼かけ、馬具はいらぬか、葛籠うらふといふ聲喧しく、木棉の金入を出して錦をかやれ、判木に押たる名號をば法然の御手じやの、岱中の筆じやのといへば、それにして唯下直物を專と求む、或は本願寺の庭砂を戴いて瘧をおとし、誓願寺の茶湯を呑みて腹の下りのとまるも、皆正直の心から、後に四國四十六所順禮同行何人と書いたる此殊勝なる中に、十八計なる女の加賀の單なる絹に猿猴が手して美しき男攫むさま、今樣染のはでを盡して顏容風俗、都にさへかゝる姿はと目を驚す、まゐて田舍人には如何なる方なればとゆかしく連の順禮の手を引て、彼の美しき女順禮はと、ゆへを問ふに、凡そ此順禮は國所によりて變る習もおはすべけれど、我國には六十六所の數多く、しうるものを以て、座の上につく事にして、姿よく情ありても、此勤せぬ者は宜しきものゝ嫁にも取らず、婿にもせねば、若きは戀のためと名利、年寄たるものは後の世の種に、年々かくは詣づ、夫が中に此御方は、陸奧の内にてさる百姓分の人ながら、少し由ある方の娘、わきて情の心深く、僧正遍昭が歌のさまにはあらで、畫にかける男繪を見て、このやうなる君に情かわしてこそと、思ひ入江の海士小船、こがれて物をおもへど、近き國にはかゝる男色なし、此上は名にしあふ花の都人こそゆかしけれと、順禮にはあらぬ男修行の君、みづからと今一人の女も召使はれの者にて、共に此の事に心を運ぶ...
三田村鳶魚 「女順禮」
...中納言は昔の後悔が立ちのぼる情炎ともなって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...やがてさっとその顔へ血ののぼるのが見えた...
山本周五郎 「新潮記」
...一刻の午睡(ひるね)をむさぼるには寔(まこと)に絶好な場所だった...
吉川英治 「黒田如水」
...心腸をしぼるばかり...
吉川英治 「三国志」
...浅瀬(あさせ)をわたってザブザブと峡の向こうへよじのぼる...
吉川英治 「神州天馬侠」
...老人と安兵衛の手を握りしめて声涙をしぼるのであった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...それのご返信数百枚にのぼるものを編集の手をへて私も拝見した...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...さかのぼるので舟脚(ふなあし)が遅い...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...よく洛内(らくない)の侍たちの間で噂にのぼる宮本武蔵なる新進の剣士が...
吉川英治 「宮本武蔵」
...あの灰汁水(あくみず)を作る原料(もと)ですな」「それは莫大な金額にのぼる取引なので...
吉川英治 「宮本武蔵」
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