...大和絵のような春霞が裾の方をぼかしている山のかさなりを見ていると...
高村光太郎 「山の春」
...けじめを朦朧(もうろう)とぼかして置いた方がよい...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...盛子は長い小豆色のぼかしのある羽織の下に...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...その末がぼかしたように広くひろがり渡った...
田山花袋 「田舎教師」
...照るとはなくてただジミな水色のぼかしを見るように四方に充ちわたツた...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...フランス芸術の薄ぼかしの色や細分された柔らかな語調などには...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...時間と空間とをぼかしておりまする間は...
中里介山 「大菩薩峠」
...互にぼかしあったように...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...青畳をぼかして、真珠色の絹あんどん、白りんずの吊夜具、将軍家の寝所にはちがいないのですが、ふとんの中はもぬけのからで、めざす相手の家光は影も形もなかったのです...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...(故に詩と他の文學との識域はぼかしである...
萩原朔太郎 「青猫」
...水色と桃色のぼかしたたづななぞを身につけていた...
林芙美子 「晩菊」
...そこから次第に微妙にぼかしになつて...
三好達治 「柘榴の花」
...髪は分けて二つの輪のみずらを紫のぼかしの元結いでくくった十人は...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...紅をぼかしたうこん染めの...
柳田国男 「木綿以前の事」
...カソリックを少しぼかして見せなければやりきれないんだから...
横光利一 「旅愁」
...妻女山の黄葉(こうよう)や緑や紅葉(もみじ)をぼかしていた白い霧も...
吉川英治 「上杉謙信」
...山蔭の早い夕べに影をぼかして...
吉川英治 「宮本武蔵」
...その汐煙(しおけぶり)が山から山を一面にぼかして...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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