...ほんのりとお月さまの光がすけてみえました...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「旅なかま」
...薄くほんのりとして覗(のぞ)くのも...
泉鏡花 「絵本の春」
...襟(えり)の雪がほんのり薫(かお)ると...
泉鏡花 「縁結び」
...松林にまじつてゐる冬木が幾分の落葉を殘してゐてほんのりとした梢の趣が其空の色と調和がよい油繪が出來たらなアと思う...
伊藤左千夫 「八幡の森」
...そしてそこの料亭で一杯のマラスキノにほんのり顔を染めて...
薄田泣菫 「茶話」
...五日の月はほんのりと庭の白沙(はくさ)を照らして...
田中貢太郎 「頼朝の最後」
...ほんのりと白い寝顔を...
谷崎潤一郎 「細雪」
...朝霧にほんのりと浮びあがる香春...
種田山頭火 「行乞記」
...河の面がほんのりと白んできますと...
豊島与志雄 「立札」
...ほんのりと香料をにおわせるのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「入らつしやいませ」ほんのりと掛香が薫(くん)じました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「入らっしゃいませ」ほんのりと掛香(かけこう)が薫(くん)じました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...白い大小の天幕小舎の頂きがほんのりと焔のやうな薔薇いろの光りを受けてまばゆく輝やいてゐた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...髪はほんのり金色がかっています...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...ほんのり酔はれると高島屋や吉右衛門の声色を聴かせて下され...
牧野信一 「文学的自叙伝」
...間もなく町は灯(ひ)になって見る間(ま)にあわただしく日が沈めばどこからともなく暮れ初めて坂の上のほんのり片明りした空に星がチロリチロリと現われて煙草屋の柳に涼しい風の渡る夏の夜となる...
水上滝太郎 「山の手の子」
...『――あの衆の中に、たんだ一人、女子(おなご)が交っているぞ、女子が』『ばかを云え、復讐の浪士方の中に、何で女が交っているものか』『いや、ほんに』『そんな事はないというのに』『じゃあ、そっと、覗いて来たがよい』『どこに居る? ……』『あれ……あの囲炉裏(いろり)のそばにかたまっている浪士衆の中に……指角力をやって負けたらしい、ほんのりと、紅い顔している十七、八の若衆』『ふム、なる程』『あれや、男じゃあるまい――男のすがたはしているが、どう見ても、女子じゃろうが』誰も皆、そう信じ出した...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...まだほんのりと島々に遺(のこ)っているらしい...
吉川英治 「随筆 新平家」
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