...見る見る蒼白い頬の底にほのかな血の色を動かしましたが...
芥川龍之介 「妖婆」
...ほのかな意識を移していた...
池谷信三郎 「橋」
...ほのかな微笑が、無敵艦隊破滅の後七年めの今日、メディナ・シドニア公の顔の上をはじめてかすめた...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...わが戀はあさぎほのめくゆふそらにはかなく消ゆる晝の花火か細腰の紅(あけ)のほそひもほそぼそに消ぬがにひとの花火見あぐるほのかなる浴衣の藍の匂より浮き名のたたばうれしからまし東京地圖東京に住んでゐては...
竹久夢二 「砂がき」
...そのほのかなよろこびのために...
太宰治 「秋風記」
...要は吸い物椀(わん)の中に浮いているほのかな早松茸(さまつだけ)の匂いを嗅いだ...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...………そしておりおり洩(も)れて来るほのかな囁(ささや)き...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...ほのかな灯の漏れてくる家々の尽きたあたりで...
壺井栄 「大根の葉」
...褪せたほのかな匂いきりしなかった...
豊島与志雄 「反抗」
...ほのかな夜明けのけはいがして...
久生十蘭 「キャラコさん」
...なんともいえないほのかな気持になる...
久生十蘭 「キャラコさん」
...ほのかな微笑が不意に...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...輝いている海!かつて朝夕に眺めた海のほのかな記憶を(ああすべてが最終審判の日に於て)彼等は果して憶い出さずに居たであろうか?また...
松本淳三 「再生の日の海を眺めて」
...なぜならあの上のほう、もうこれ以上昇れぬというところから、一つの微光が彼等をさしまねいている――最後の高みから、一つのほのかな、ゆらゆらとゆらめく光がさしまねいているからである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「予言者の家で」
...彼の手で抱き起こされ顔をそむけて涙を拭いたとき窓の明り障子にほのかな晩春の曙(あけぼの)の光りがさしていた...
山本周五郎 「菊千代抄」
...ほのかな香がうごいていた...
吉川英治 「篝火の女」
...ほのかな明りへぬかずいた...
吉川英治 「新書太閤記」
...清朗で軽妙なあの屋根はほのかな銀色に光つてゐた...
和辻哲郎 「月夜の東大寺南大門」
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