...ほそい新月(しんげつ)が夢(ゆめ)のような姿(すがた)をみせ...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...あのときは、このうちのやねから、ほそい、じょうぶな糸のなわばしごがさげてあって、それをつたってのぼったのさ...
江戸川乱歩 「赤いカブトムシ」
...警官は、いま、つたいおりた、ほそいひもを、手もとにたぐりよせると、それをまるめて、ポケットにおしこみ、屋上の出入り口から、劇場のなかへはいっていきました...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...ほそいナイフがかくしてあったのです...
江戸川乱歩 「仮面の恐怖王」
...ふえのやうなほそい声でうたをうたふばらよ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...女のほそい声が玄関で致します...
太宰治 「ヴィヨンの妻」
...むかし細井平洲(ほそいへいしゅう)という先生は人の手紙を見るとその場で焼いてしまったという事だ...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...それから魚のつらなりは、ほそい、あるかないかの線状からなり立って、ぴりぴり顫(ふる)えているようだった...
室生犀星 「蛾」
...ふぢ子は頸のほそい皮膚のよわい子でありました...
室生犀星 「ザボンの実る木のもとに」
...ふぢ子はマントの天鵞絨(ビロード)の襟の上にれいのほそい頸をすこしばかり見せてゐます...
室生犀星 「ザボンの実る木のもとに」
...こんなほそい枝(えだ)をおさえているだけの力もないのか...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「いさましい ちびの仕立屋さん」
...北へ登って行くほそい坂道(さかみち)がそれで...
柳田国男 「母の手毬歌」
...斑のいる梅の木のすぐそばにある梅の花のたくさん開いたほそい枝の処へ...
夢野久作 「梅のにおい」
...ほそい道がついていた...
吉川英治 「大岡越前」
...結核性な匂いをもつ青白い瓦斯(ガス)燈が、ほそい眼をして、いつもそこに簇(むらが)る夥(おびただ)しい求食者の群を見下ろしている...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...京流第一の兵法者とはどうしても見えない――いわば都会的な線のほそい公達(きんだち)だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...洗濯物の下にほそい脛(すね)をかかえて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...お信は、意識をひらくとすぐ、「姉さんは……」と、ほそい声で、訊ねた...
吉川英治 「無宿人国記」
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