...二三その夕方倉地がほこりにまぶれ汗にまぶれて紅葉坂をすたすたと登って帰って来るまでも葉子は旅館の閾(しきい)をまたがずに桜の並み木の下などを徘徊(はいかい)して待っていた...
有島武郎 「或る女」
...足袋(たび)のほこりをはたいて上へあがった...
伊藤左千夫 「廃める」
...塾生全部が室内のほこりを避ける意味で...
太宰治 「パンドラの匣」
...鼠の糞(ふん)埃(ほこり)まみれになって出て来たのだから...
橘外男 「仁王門」
...砂ほこりが私たちを追っかけて来る...
谷譲次 「踊る地平線」
...埃(ほこり)っぽい...
谷崎潤一郎 「細雪」
...旅亭の古看板の幾年月の塵埃(ちりほこり)に黒みて纔(わづ)かに軒に認めらるゝ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...食べようじゃないか」「うむ」十日ばかりというもの風ほこりも立たず雨も降らず小春といってもないほど暖(あった)かな天気のつづいた今年の年暮(くれ)は見るから景気だって...
近松秋江 「うつり香」
...冴(さ)えた空(そら)の下(した)に夫婦(ふうふ)は毎日(まいにち)埃(ほこり)を浴(あ)びて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...埃(ほこり)だらけになつて出て來ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一ヶ所埃(ほこり)の摺れて居るところはないか――」言葉の了らぬうちに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八ツ手の葉にいっぱい埃(ほこり)がかぶさったまま露がしっとりとしていて...
林芙美子 「新版 放浪記」
...そこには二三寸も高く積つた埃(ほこり)の上に...
宮原晃一郎 「ラマ塔の秘密」
...その重い埃(ほこり)の深い扉を開けると...
室生犀星 「津の国人」
...長安で北支那の土埃(つちほこり)をかぶって...
森鴎外 「寒山拾得」
...天井の隅で塵埃(ほこり)と煙の一群が...
横光利一 「上海」
...埃(ほこり)に黄ばんだ程だった...
吉川英治 「私本太平記」
...祖先に河内源氏石川ノ義基(よしもと)を持つ武門のほこりは色褪(あ)せてしまい...
吉川英治 「私本太平記」
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