...埃(ほこり)だらけの硝子(ガラス)窓の中にはずんぐりした小倉服(こくらふく)の青年が一人...
芥川龍之介 「温泉だより」
...もちろん憤慨する方が間違っているんだが、――千葉あたりになると、色はいやに白ちゃけて、ほこりぽく、見るも無残である...
石川欣一 「可愛い山」
...廊下の埃(ほこり)は鎮まって...
泉鏡花 「婦系図」
...倒壊した駅の建物から黄色い砂ほこりが濛々(もうもう)と舞い立っていました...
太宰治 「たずねびと」
...自分で罎(びん)の埃(ほこり)を払い...
谷崎潤一郎 「細雪」
...膝まで埃(ほこり)に埋めながら...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...ほこりっぽい、乾苦(かわきぐる)しい、塩っ辛い汗と涙の葬礼行列の場面が続いたあとでの、沛然(はいぜん)として降り注ぐ果樹園の雨のラストシーンもまた実に心ゆくばかり美しいものである...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...県道筋の白い埃(ほこり)が龍巻(たつまき)のように...
徳永直 「冬枯れ」
...にちゃにちゃする埃(ほこり)だらけの水に頭をひたしてから...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...――しかし御蔭で髯(ひげ)も何も埃(ほこり)だらけになっちまった...
夏目漱石 「虞美人草」
...往来は埃(ほこり)が二寸も積もっていて...
夏目漱石 「三四郎」
...武士の子という誇(ほこり)はあったにしても...
野村胡堂 「十字架観音」
...その間に埃(ほこり)の出るものなら...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お前はもう今朝三里も歩いてゐるだらう――額口(ひたひぐち)に汗を掻いて足から裾(すそ)は埃(ほこり)だらけぢやないか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...手槍の方は提灯を掲げて見ると埃(ほこり)を被つて居て...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紙箒(はたき)を持って兄の机の上の埃(ほこり)を払いながら...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...仕事場の隅に立てかけたまま埃(ほこり)をかぶっている...
山本周五郎 「さぶ」
...その小さなほこりをば...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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