...やがてまたふつと消えてしまつた...
薄田泣菫 「西大寺の伎藝天女」
...ふつと好きなんだ...
太宰治 「お伽草紙」
...このごろふつと無くなつたといふ噂を小耳にはさむ...
太宰治 「お伽草紙」
...そしてふつと電話を切つてしまつた...
徳田秋聲 「水ぎわの家」
...ふつと嬉(うれ)しさのこみあげるのをとめられなかつた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...ふつと窓から空を見上げるのが習慣(ならひ)になつてゐる...
長谷川時雨 「東京に生れて」
...とても量が沢山あつて安いのよ」ゆき子は、ふつと、池袋のホテイ・ホテルの事を思ひ出して、このまゝ伊庭と鷺(さぎ)の宮(みや)へ戻つて、あの狭い部屋で、二人で寄り添つて寝るのは厭だと思つた...
林芙美子 「浮雲」
...ふつと、仲々死ねるものではないやうな気もした...
林芙美子 「浮雲」
...富岡はふつとなつかしく思ひ出されたが...
林芙美子 「浮雲」
...死んでくれつて云つたぢやないの?」「死ぬのは痛いよ」富岡はふつと...
林芙美子 「浮雲」
...船着場で、営林署の迎へのものに、「奥さん」と云はれて、富岡は、その時、ふつと、官吏生活を長く続けてゐる、健康な家族を思ひ出した...
林芙美子 「浮雲」
...登美子はふつと、妹の鏡臺のところへ行き、安並敬太郎の寫眞を蒲團のところへ持つて來た...
林芙美子 「婚期」
...それは別に大した思ひかたではなかつたけれども、留吉も可愛がつてくれる鶴石を見て、ふつと、りよはさう思つたのである...
林芙美子 「下町」
...ふつと立ちあがると...
林芙美子 「風媒」
...妙子は一寸眞生目な表情で父を見てゐたが、ふつと、唇邊にうす笑ひを浮べて、「私、お父さんの幸福になる事なら何でもいいと思ふわ...
林芙美子 「崩浪亭主人」
...祭(まつ)りは昨日(きのふ)に過(す)ぎて其(その)あくる日(ひ)より美登利(みどり)の學校(がくかう)へ通(かよ)ふ事(こと)ふつと跡(あと)たえしは...
樋口一葉 「たけくらべ」
...あの写真のやうに孤りでふつとたゞずんでゐた...
牧野信一 「「尾花」を読みて」
...銀座のあるキャバレーの女性の唇だと正忠は云ったが、飲むと若返るかれの癖が、ほうふつとして、サイン帳の唇からもうかがわれたのである...
山之口貘 「酒友列伝」
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