...黙って思いにふける一人(ひとり)の女――その時には彼女はどの意味からも女だった――どこまでも満足の得られない心で...
有島武郎 「或る女」
...それとも静かな炉辺でパイプをくわえながら思い出にふける時には...
石川欣一 「可愛い山」
...「英雄色を好む」の言を口実として色にふけるものあり...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...またぼんやり物案じにふけるのでございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...きょうも高邁(こうまい)の瞑想(めいそう)にふけるか...
太宰治 「失敗園」
...こっそり蓮葉な小説ばかり読みふけるようになりました...
太宰治 「千代女」
...葉藏は夜のふけるとともに...
太宰治 「道化の華」
...ねむれない夜の百足が這うてきた這うてきて殺された虫の夜がふける日だまりの牛の乳房草の青さで牛をあそばせてゆふべ・てふてふつるまうとするくもり暮れてふるさとのぬかるみをさまよふ五月四日放下着...
種田山頭火 「其中日記」
...夜のふけるまでぶら/\したのがよくなかつた...
種田山頭火 「旅日記」
...三時間ぐらいずつも楽しく遊びふけるのだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...彼がもし自分の考えにふける隙(ひま)があったら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...思索にふけるために仕事を節した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...昼間の涼しさに引替へふけるにつれてます/\激しくなるのに堪へかね...
永井荷風 「来訪者」
...だんだん夜がふけるに従(したが)って...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...姨捨山(おばすてやま)の月(わが心慰めかねつ更科(さらしな)や姨捨山に照る月を見て)ばかりが澄み昇(のぼ)って夜がふけるにしたがい煩悶(はんもん)は加わっていった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その故にめんどうくさくなつて思ひふけることができなかつたかも知れないのである...
室生犀星 「故郷を辞す」
...拳闘や狩猟等の野蛮な娯楽にふける人たちにとって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...私はいつも考えにふける時のように人を寄せつけないムズかしい顔をしていたのです...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
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