...黙って思いにふける一人(ひとり)の女――その時には彼女はどの意味からも女だった――どこまでも満足の得られない心で...
有島武郎 「或る女」
...手紙に読みふける木村の表情には...
有島武郎 「或る女」
...木村なのか岡なのかいつまでもいつまでも寝ないで火の消えかかったストーブの前にうずくまっているのは……ふけるままにしみ込む寒さはそっと床を伝わって足の先からはい上がって来る...
有島武郎 「或る女」
...船長は無言で考えにふける...
海野十三 「幽霊船の秘密」
...近所の滝の音は夜のふけるに随って深くなった...
小泉八雲 田部隆次訳 「ろくろ首」
...樹明君(老の字は遠慮しよう)がおいていつたバツトをふかしながら物思ひにでもふける外ない...
種田山頭火 「其中日記」
...憂鬱(ゆううつ)な空想にふけるようになってしまった...
寺田寅彦 「花物語」
...我を忘れて瞑想(めいそう)にふけるのであった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...夜がふけるに従つて...
永井壮吉 「人妻」
...仕方がないので故郷(けう)に對して惜別の感慨(かんがい)にふけるといつたやうな目的で自轉車をひつぱり出した...
新美南吉 「坂道」
...出来るだけの栄華にふける種をおろしたのであった...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...こまかな思い出にふけることがおそらく...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...僕達はきつと町にゐる時の何倍もの美食にふけることが出来るだらう! 愉快だ...
牧野信一 「ビルヂングと月」
...夜がふけるにしたがって音楽は佳境にはいっていった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その考えにふければふけるほど...
室生犀星 「香爐を盗む」
...一〇私は天下の大名物を親しく手に抱いてもろもろの想いにふける...
柳宗悦 「民藝四十年」
...ふけるにしたがってますますはげしく...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
...吉簡(きっかん)とかいう秘曲もふけるのじゃろ」「とんでもない――」「まあ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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