...既にひと通りの下調べを済ました保線課の係員を案内役として...
大阪圭吉 「とむらい機関車」
...既にひと通りの調査は済まされて係官はひとまず引挙げ屍体は事件の性質上一応千葉医大の解剖室へ運ばれた事...
大阪圭吉 「花束の虫」
...美しくて女ひと通りの諸藝にも疎(うと)くないお道を偏愛(へんあい)し...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...弓も馬もひと通りはやったが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ひと通り店中の者に逢つて行かうよ――それから物置の中も見たいな」「無駄だらうが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「お通か――はないでしょう、みんなひと通り、私へ小当りに当った覚えがある癖に、フ、フ」「この人は、私の仲間よ、――家来と言っても宜いワ、清作と言って、取って三十二、江戸の生れだけれど、人間はそりゃ半間よ、可愛がってやって下さるわねエ」お通はそう言って、輝やくばかりの半面に、美しい微笑を咲かせるのでした...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...占領地の主な収容所をひと通り見ておかれるほうがいいでしょう...
久生十蘭 「ノア」
...市(いち)の品ひと通り買ふことは出来まい...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...蔵書をひと通り拝見させて頂けましょうか」「さあどうぞ」と役人は言って...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...ひと通りは説明し得られるのかも知れぬが...
柳田国男 「母の手毬歌」
...大助は手にとってひと通り眼をとおした...
山本周五郎 「新潮記」
...わけて河南の伏牛山脈(ふくぎゅうさんみゃく)をこえる山路の難行はひと通りでない...
吉川英治 「三国志」
...鎌倉さいごの日――彼女の仕えていた二位どの御所は、女御所なので、あの炎に会った泣き叫びも、ひと通りでなく、わけて二位どのには、高時との仲に生(な)した当年九ツと七ツになる二人の和子があったので、わが身もなく、兄の万寿(まんじゅ)を、五大院宗繁にあずけて先へ逃がし、弟の亀寿(かめじゅ)は、諏訪(すわ)三郎盛高が、これを負って、遠くへ落ちた...
吉川英治 「私本太平記」
...ひと通り挨拶に廻ったのだろうな」「いや...
吉川英治 「新書太閤記」
...ほかならぬ木下殿のことと、わしは信頼しておるが、家中の不評、御城下の不安、ひと通りでない...
吉川英治 「新書太閤記」
...「よくぞいたした」信長の喜悦はひと通りでない...
吉川英治 「新書太閤記」
...ひと通りに達していて...
吉川英治 「随筆 新平家」
...ひと通りではない...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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