...それはか細いひと筋の巻鬚に...
薄田泣菫 「独楽園」
...B教授の禿頭(とくとう)の頂上の皮膚に横にひと筋紫色をしてくぼんだ跡のあるのを発見した刑事が急に緊張した顔色をしたが...
寺田寅彦 「B教授の死」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...――そして唯ひと筋に...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...鉄火の道ひと筋で...
火野葦平 「花と龍」
...からだの筋肉のひと筋ひと筋が制御できなくなった...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...彼は彼女の輝いたちぢれ毛のひと筋にも...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...槍ひと筋の家に生い立ちながら好んで落語家の仲間へ身を投じた父の圓太郎も決して廃めさせたがらなかった...
正岡容 「小説 圓朝」
...白いひと筋の古風な田舍道路が走つてゐた...
室生犀星 「京洛日記」
...ただひと筋にみいくさにうちこむ...
山本周五郎 「新潮記」
...良人に仕える道はひと筋きりないが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...そのひと筋な純情に対し...
山本周五郎 「百足ちがい」
...その「覚悟」はひと筋で紛れもなく...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ひと筋の強靱(きょうじん)なものが感じられた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...十三や十四から飯を炊かせたり肴を作らせたり、使い走りをさせたりしただけだ、帯ひと筋、いや簪一本買ってやったことがなかった、ところがおまえはむすめの手内職で、おれを医者にもかけ薬も買って呉れる、おれが好きだと思う物は、そう云わなくとも膳へのっけて呉れる、諄いようだが礼を云うんじゃあないぜ、おれは、来年はもう六十九だ、この年になって、はじめておれはおんなというものがわかった、おまえのして呉れることを見て、はじめておんなの有難さというものがわかったんだ、男のおれにできないことを、まだ十八のおまえがりっぱにやってのける、それはおまえがおんなだからだ、ああおせん、おれはこれが四十年むかしにわかっていたらと思うよ」四十年むかしといえばまだ生きていたお祖母さんのことを云うのではなかろうか、おせんはお祖母さんのことはなに一つ聞いていない...
山本周五郎 「柳橋物語」
...おせんを愛しているというただひと筋のおもいにつながっているのである...
山本周五郎 「柳橋物語」
...白い街道(かいどう)がひと筋(すじ)にとおっている...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ひと筋縄や二筋縄で測られる“下腹ぶくれ”でないことがわかる...
吉川英治 「新書太閤記」
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