...「それ今ひと息だぞっ」君の父上がしぼり切った生命を声にしたように叫んだ...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...そして残りの階段をひと息にのぼり切っていよいよ一番高いところに立った...
海野十三 「怪星ガン」
...数分の休息と三片のキャラメルで自分の体内の血液の成分が正常に復したと見えてすっかり元気を取りもどしてひと息に頂上までたどりつくことができた...
寺田寅彦 「小浅間」
...ひと息ごとに吐き出すように...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...ひと息ふた息の間にあった...
中勘助 「母の死」
...親分」「もうひと息だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ひと息いれるとき...
久生十蘭 「キャラコさん」
...顔の筋ひとつ動かさねえで三合の余もある火酒をひと息に呑みほすやうな若者を見たなあ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...また半分ほど酌がせたなおしを今度はひと息に飲んでしまい...
正岡容 「小説 圓朝」
...髪の毛がありゃアがら」と言って茶碗の中のその数本の長い毛を片手で押さえたままグーッとひと息に煽りつけてしまうくだりがあり...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...なんならちょいとお燗いたし……」コップへお酒を注ぎながら訊ねる爺さんへ、「いいんだよいいんだよ、冷のほうがずっと飲み心地がいいんだから」ひったくるように奪い取って、ひと息に飲んだ...
正岡容 「寄席」
...ひと息したところで二階へあがって来て...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ひと息ごとに顔が赤く照らしだされるほど...
W・W・ジェイコブズ 森郁夫訳 「井戸」
...そんな易辞をみなひと息に飲み込んで頭を悪くしては...
横光利一 「馬車」
...ひと息ついていた所へ...
吉川英治 「三国志」
...そして玻璃の水をひと息にのんでから...
吉川英治 「私本太平記」
...ひと息いれたら、もいちどおいで」と、いわぬばかりに涼しい顔で休んでいる...
吉川英治 「新・水滸伝」
...もうひと息、最後の一歩...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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