...ひたと底のない寂寥(せきりょう)の念に襲われだした...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...鶴子さんの目はひたと書物を見てゐる...
高濱虚子 「俳諧師」
...ひたと吸いついて動かなんだ...
太宰治 「女の決闘」
...彼はつねに誇るその流滑自在なる舌の今日に限りてひたと渋るを怪しめるなり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ひたひたとその白いものが流れ出して来るのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...どこからともなくひたひたと感ぜしめられてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ひたと向い合いになった時分に...
中里介山 「大菩薩峠」
...二人の視線がひたと行き当る...
夏目漱石 「カーライル博物館」
...ひたひたとひきずりながら...
新美南吉 「狐のつかい」
...腰部前面の或る部分をひたひたと手で叩く...
山本周五郎 「青べか物語」
...前の窓より外なる波に月光のひたひたと宿れるさまを見候(さふらふ)ては...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...ひたと身を寄せ合って...
吉川英治 「大岡越前」
...魏の大軍がひたひたとこれへつめよせて来る...
吉川英治 「三国志」
...ひたひたと襲(よ)せてきた魏の先陣は...
吉川英治 「三国志」
...いや酒だけでもない」高氏はじぶんを呪(のろ)うような語気で――「こよいに限って、こんな深酔いしたのも、藤夜叉、そなたが、いけないからだ」「あら、なぜでございますか」「いえない」胸を空(あ)けて、待つとない悶(もだ)えをしめすと、とっさに、どういう小むすめの気安さが、その彼に見えすいたのか、藤夜叉の方から寄りすがって、ひたと甘えた...
吉川英治 「私本太平記」
...ひたと、雪中に額(ぬか)ずいて、「そも前世の宿業(しゅくごう)にや、林冲、罪のおぼえもなきに、この獄地に流され、かくのごとき、生ける醜骸(しゅうがい)となっております...
吉川英治 「新・水滸伝」
...おれまでが、悲しくなって、何だか、行きたくなくなってしまう」「おねがいですから……」桔梗は、抱かれた良人の手の甲へ、濡れた睫毛を、ひたと、すりつけた...
吉川英治 「平の将門」
...お通」そして果ては、抱きあげたお通の顔へ、わが顔を、ひたとつけて、「このような優しい女子(おなご)が、わが子にもあろか...
吉川英治 「宮本武蔵」
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