...而してこの議論中にひそむ大なる誤謬は社会の安寧秩序は必然に個人の犠牲によつて成就せられると云ふ観念である...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...われわれは荒野の強壮薬を必要とする――時にゴイサギとバンとがひそむ沼をかちわたって...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...そのうちにひそむ主観が大きければそれでよいのである...
高浜虚子 「俳句への道」
...描くことの内面にひそむうつすことの本質現象を囚(とら)えきたってあまさない...
中井正一 「うつす」
......
中島敦 「和歌でない歌」
...かうした室生の心情にひそむものは...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...私は油絵の具の中にひそむ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...ああ絶壁にかこまれた孤島の軍港!三十浬の水門の奥にひそむ秘密艦隊!これが一たび動き出したら...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...蓮華岳の洞窟にひそむ怪艦は...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...彼女のつぶった眼の下や口のまわりや頬の皺にひそむにぶい影に炉の火が映っていた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「漁師」
...この不可解な状態のかげにひそむ一つの理由として生活的な問題がおいおい一般の推測に浸透してきた...
宮本百合子 「権力の悲劇」
...「無」の要素が奥にひそむ時...
柳宗悦 「民藝四十年」
...高氏の内にひそむ多年の大志を...
吉川英治 「私本太平記」
...諸州にひそむ忠誠の士は...
吉川英治 「私本太平記」
...幕裏(まくうら)にひそむ妖術師(ようじゅつし)一山県蔦之助は人もしる代々木流(よよぎりゅう)の達人(たつじん)...
吉川英治 「神州天馬侠」
...内部に狂おしき苦痛がひそむ時にも外形は「痛ましさ」の像となって現われる...
和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
...モナリザの内にひそむヴィナスは...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...そのあとに地方官の妻や陋巷にひそむ女との情事が挿入されるのも不思議はないと肯(うなず)くことができよう...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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