...――一 無言に終始した益軒の侮蔑(ぶべつ)は如何に辛辣(しんらつ)を極めていたか!二 書生の恥じるのを欣(よろこ)んだ同船の客の喝采(かっさい)は如何に俗悪を極めていたか!三 益軒の知らぬ新時代の精神は年少の書生の放論の中にも如何に溌溂(はつらつ)と鼓動していたか!或弁護或新時代の評論家は「蝟集(いしゅう)する」と云う意味に「門前雀羅(じゃくら)を張る」の成語を用いた...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...真理はまさしくいつの時代にも若鮎(わかあゆ)のように溌剌(はつらつ)とした若々しい綺麗(きれい)な娘です...
高神覚昇 「般若心経講義」
...それにその当時の溌剌(はつらつ)とした現世を見る眼が肥えて来ているのが表れている...
高村光太郎 「回想録」
...そして体臭と悍馬(かんば)と喚声と溌剌(はつらつ)とが原色の大洋のように密集して...
谷譲次 「踊る地平線」
...・朝風のいちばん大きい胡瓜をもぐ・肥をやる菜葉そよ/\そよぐなり・朝はすゞしく菜葉くふ虫もつるんで・朝の水はつらつとしていもりの子がおよいでゐる・日ざかり黄ろい蝶・山のあなたへお日様見送つて御飯にする・寝るには早すぎるかすかにかなかな・夕凪あまりにしづかなり豚のうめくさへ・遠くから街あかりの...
種田山頭火 「行乞記」
...はつらつとして歩いてゐたら...
種田山頭火 「行乞記」
...溌剌(はつらつ)として美しい彼女という人間のなかには...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...溌溂(はつらつ)と春さきの気品を見せていた...
徳永直 「麦の芽」
...溌剌(はつらつ)さが熱情が現われていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...国貞の作には常に一定の形式ありて布局の変化少くまた溌剌(はつらつ)たる生気に乏し...
永井荷風 「江戸芸術論」
...お前の文明よりはまだしも溌剌(はつらつ)としていはしないか...
中島敦 「環礁」
...非常にはつらつとした...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...例えばこのあいだ」津留はこういうときまず舌に湿りをくれて精気溌溂(はつらつ)として...
山本周五郎 「思い違い物語」
...溌剌(はつらつ)と迎え取らねばならぬ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...その園生の精のような溌剌(はつらつ)とした美少女の群れが...
蘭郁二郎 「鱗粉」
...溌剌(はつらつ)とした気持ちが...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...対立者に応じて溌剌(はつらつ)としたものが湧(わ)き出て来る...
和辻哲郎 「城」
...この動きにあの溌剌(はつらつ)とした美しさを与えるのであろう...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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