...たゞ女に生れて来たと云ふ事それ自身さへはかないやうな心持がした...
鈴木三重吉 「桑の実」
...霧のようなはかないものであることを...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...これこそ貪婪な美食主義のはかない片鱗ではなからうか...
太宰治 「道化の華」
...ただ少数な江戸っ子の敗残者がわざわざ竹仙(ちくせん)の染め物や伊勢由(いせよし)のはき物を求めることにはかない誇りを感ずるだけであろう...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...もしも別れが来た時はせめてはかない思出に...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...また腕力を生むことになりはしないか?」「正義にはかないませんよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...惜しいはかないやうな思が心の底に潛んで居る...
長塚節 「佐渡が島」
...はかない望を抱いたのである...
夏目漱石 「門」
...今はもう見るもはかないばかりになってしまったが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...かすかに残った生のはげしく争う辛いはかない努力もしず...
宮本百合子 「悲しめる心」
...うつせみの世はうきものと知りにしをまた言の葉にかかる命よはかないことです...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...蝶(ちょう)ははかないふうに飛び交(か)って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...」「はかないね、小説家の末路というものははかない、いま恰度、其処を何も知らずに、僕は帽子をかむって、てくてくほっ附き廻っているようなもんだ...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...はかない架空の仇花(あだばな)にすぎないのではないのか...
山川方夫 「昼の花火」
...にんきなどというものははかないもので...
山本周五郎 「青べか物語」
...わらぢをはかないでもいゝのかと嬉しかつた...
吉川英治 「折々の記」
...はかない現実の末路を遂(と)げてしまうのであろうか...
吉川英治 「三国志」
...「あとへ残れ」「お供はかないませぬか」「ここには中宮(ちゅうぐう)(皇后の禧子(よしこ))もおり...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索