...(中略)汝(なんぢ)があふて見度(みたし)と思ふ女のねんごろにする男の懐(ふところ)の中に入れば...
芥川龍之介 「案頭の書」
...ねんごろに注意して大木は帰った...
伊藤左千夫 「廃める」
...ねんごろにもてなす婦人の柔らかい絹ずれの音にも...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...其家にいたりねんごろに回向(ゑかう)す...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...皇子さまの御聖霊会をねんごろに取り行はせられました...
太宰治 「右大臣実朝」
...ねんごろに父の葬(とむら)いをすませて...
太宰治 「新釈諸国噺」
...ねんごろに教えてやってから...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...私もねんごろに会釈した...
種田山頭火 「行乞記」
...ねんごろに浪子の上を託し...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ねんごろに枕の傍(そば)へ口を付けて...
夏目漱石 「夢十夜」
...コン吉とタヌはねんごろに念仏を唱え...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...母に稍々ねんごろに話した...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...少しもしらなかったが師匠は下座(げざ)のお仙という三十がらみの渋皮の剥けた女とねんごろになり...
正岡容 「小説 圓朝」
...いろいろねんごろにしとくれやはったほどやから...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...袴着(はかまぎ)の式なども公然二条の院でさせたいと私は思う」源氏はねんごろにこう言うのであったが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それを兄の主殿がゆずられ、兄が又なきものとしていたのを、自分が、同族の忠右衛門の家へ養子に行くとき、ねんごろに、由来をかたり、兄のあたたかい気持をそえて、自分にくれたものである...
吉川英治 「大岡越前」
...これへも、高徳が立って、ねんごろに、戦いの利害と策を言って聞かせた...
吉川英治 「私本太平記」
...ねんごろに生前の誼(よし)みを謝した...
吉川英治 「新・水滸伝」
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