...その河童もぬらりと辷り抜けるが早いか一散に逃げ出してしまひました...
芥川龍之介 「河童」
...」「實際に無我なら、もう、膽力も、くそも入る筈がないぢやアないか? 全體、禪は矛盾と云ふよりも、ただぬらり、くらりとした不眞面目な態度でその人の無内容を胡麻化(ごまくわ)してゐるに過ぎない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...なまずみたいにぬらりくらりしたテイイ事務長といえども...
海野十三 「怪星ガン」
...棒の先にぬらりと黒い物が絡(から)んできた...
大坪砂男 「浴槽」
...暗褐色のぬらりとしたものが...
太宰治 「黄村先生言行録」
...ぬらりくらりとして過ごしてしまった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...凝液のごとくぬらりとして...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そして衆議院をとぬらりくらりしながら may を shall に替えて通りぬけたのである...
中井正一 「図書館法楽屋話」
...髪がぬらりと手首にねばりつく...
永井隆 「長崎の鐘」
...おたしなみの程を聴聞(ちょうもん)仰せつけられたいもので……」ぬらりくらりと侵入して来て...
中里介山 「大菩薩峠」
...何やらぬらりと手に附くもの...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...飛行機を眺めてゐたら朝子の頬にぬらりと掌のやうな風が来て撫でた...
原民喜 「針」
...ぬらりとした湯に...
火野葦平 「花と龍」
...あのぬらりくらりとした弁舌とは...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ぬらりとした気詰りで...
横光利一 「夜の靴」
...ぬらりとしたものが鼻(はな)の頭をなでたのである...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ぬらりくらり身を這い上げた諂(へつら)い者が...
吉川英治 「親鸞」
...ウナギのようにぬらりくらりするばかりで手に入らない難攻不落のソネートカも...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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