...僕は近頃その贋(に)せものの中に決して贋にものとは思はれぬ一本の扇(あふぎ)に遭遇した...
芥川龍之介 「続澄江堂雑記」
...奥歯にものが挟まったって譬(たとえ)はこれだ...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...社会に対して「死にものぐるい」になることもできたのだ...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...「出かはりは幼心にもの哀れ」といっただけではただ出かわりが文章の主格となるだけでありまして「出かわりというものは」というくらいの意味になるのでありますが...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...わづらひの胸にもの思へとや...
高山樗牛 「清見寺の鐘聲」
...入学の資格なぞむずかしいことも何にものうて...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...浪子はほのかに笑(え)みて苦しき息を忍びつつ明らかにもの言えど...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...彼に逢わない時は妙にもの足りなかったが...
豊島与志雄 「微笑」
...倦(う)んじてし 人のこころを諫(いさ)めする なにものもなし...
中原中也 「山羊の歌」
...三四郎はこの表情のうちにものうい憂鬱(ゆううつ)と...
夏目漱石 「三四郎」
...それから営々として亢奮のためにものも云はない少年達は蟻のやうにのぼつていつた...
新美南吉 「登つていつた少年」
...十二月×日風が鳴る白い空だ冬のステキに冷い海だ狂人だってキリキリ舞いをして目のさめそうな大海原だ四国まで一本筋の航路だ毛布が二十銭お菓子が十銭三等客室はくたばりかけたどじょう鍋のようにものすごいフットウだしぶきだ雨のようなしぶきだみはるかす白い空を眺め十一銭在中の財布を握っていた...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...これや何者(なにもの)とて高(たか)く笑(わら)ひぬ...
樋口一葉 「軒もる月」
...この女はなにものでしょうか...
火野葦平 「人魚」
...髪あまた蛇頭する面振り君にもの云ふ我ならなくにメヅウサはもとは美しい女であつたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...室生さんは手あたり次第の言葉そのもので直接にものを考へて行く...
堀辰雄 「「文藝林泉」讀後」
...かれらなにものぞ...
山本周五郎 「陽気な客」
...そして此処にものの五升もあったらばなア...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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