...折り重なった鈍色(にぶいろ)の雲のかなたに夕日の影は跡形もなく消えうせて...
有島武郎 「或る女」
...しかし老婆はもう私の顔を思ひ出す気力も失くしたのかそのにぶい眼をぼんやり私の方に向けたまゝで...
伊藤野枝 「白痴の母」
...八十からになる婆さんとはとても思へないね』『へえ』私はどんよりしたにぶい眼の色の何処に昔の婆さんらしい意地が残つてゐるのだらうと不思議に思はずにはゐられませんでした...
伊藤野枝 「白痴の母」
...メスは刃のにぶい...
梅崎春生 「黄色い日日」
...まだやり方がにぶいですね」という...
海野十三 「太平洋魔城」
...智恵のにぶい一種の低能児ですね...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...腕のにぶい師匠は...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...肥料壺くみほして(追加)・楢の葉の若葉の雨となつてゐる雨に茶の木のたゝかれてにぶい芽・ゆふべのサイレンが誰も来なかつた朝は...
種田山頭火 「其中日記」
...にぶい寂しい飛沫(しぶき)をあげて...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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長沢佑 「レポーター」
...にぶい白色に見えるのである...
中谷宇吉郎 「自然の恵み」
...寿司の上をにぶい羽音をたてて大きい蝿が一匹飛んでゐる...
林芙美子 「幸福の彼方」
...廓を流して行く焼栗のにぶい声を聞いていると...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...「頭のにぶい者にはむずかしいが...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...にぶいろにくもった空のもとに...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...其の鈍色(にぶいろ)を破ツて...
三島霜川 「平民の娘」
...急に寒くもなって人の出足はにぶいようです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...薪はにぶい音をたてて転がり...
山本周五郎 「さぶ」
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