...僕等(ぼくら)はもう廣小路(ひろこうぢ)の「常盤(ときわ)」にあの椀(わん)になみなみと盛(も)つた「おきな」を味(あぢは)ふことは出來(でき)ない...
芥川龍之介 「しるこ」
...酒のなみなみつげてる猪口を右の手に持ったがまた...
岩野泡鳴 「戦話」
...尋常(なみなみ)ならぬ熱情と親切とを持っていたからであった...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...笠井氏のコップになみなみと焼酎をつぎます...
太宰治 「女類」
...またなみなみと注いだ...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...そして……自分の盃になみなみと注いだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...生の河はなみなみとたたえて流れていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...室のなかから水をなみなみと入れた洗面器をもちだして来てあけにいった...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...も一杯威勢を附けて」西宮が与(さ)した猪口に満々(なみなみ)と受けて...
広津柳浪 「今戸心中」
...なみなみと満たされた湯呑を取り上げた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...なみなみとはいった茶碗をつかんだなりで...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...密集してゐる力の塊にはなみなみのものではかなはない...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...かどなみなみに立つとても...
宮沢賢治 「蜘蛛となめくじと狸」
...静かな眼になみなみならぬ光りがあり...
山本周五郎 「雨あがる」
...元禄という文明のなみなみならぬ高さを感じて嬉しかった...
横光利一 「旅愁」
...あとはなみなみとした水を切る櫓(ろ)の音許(ばか)りだ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...それになみなみとたたえられた赤いものを見ると...
蘭郁二郎 「※[#「氓のへん/(虫+虫)」、第3水準1-91-58]の囁き」
...ここには慈愛と悲哀との杯がなみなみと充たされている...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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