...蓋(けだ)し僕には観音経の文句――なお一層適切に云えば文句の調子――そのものが難有(ありがた)いのであって...
泉鏡花 「おばけずきのいわれ少々と処女作」
...それよりもなお一層忘れられない恐しいことがあったのです...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...なお一層元気を失わざるべし...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...なお一層奇妙だった...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...そしてその呆れたのよりも頭布の綺麗(きれい)なのにはなお一層呆れてしまい...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...例えば、不忍池の濁水は、貸ボートの浮んでることよりも、蓮の青葉の繁茂してることよりも、なお一層、子供等が数ひきの小魚や小蝦をしゃくいあげてくれることによって、生きてる清水の幻想を与える...
豊島与志雄 「文学以前」
...成ろう事なら言葉も英語か独逸語(ドイツご)でやった方がなお一層よさそうに思われる...
永井荷風 「妾宅」
...右の風聞のなお一層くわしきことを知ろうとして町へ出てみると...
中里介山 「大菩薩峠」
...本来、駒井甚三郎は、科学工芸――ことに造船だの、新式兵器だのということに就いては、深甚(しんじん)なる研究も興味も持ってはいるが、土木建築となると、さほどに興味がないし、絵画彫刻となると、なお一層でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...それよりもなお一層陋劣(ろうれつ)な考だ...
夏目漱石 「倫敦消息」
...この後はなお一層その点を注意したい...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...叫び声は殺された肉体が発するそれであるだけでなく――なお一層わるいことに――うちのめされ...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...このハムムラビ法典よりなお一層古い法律が発見せられぬとも限らぬのである...
穂積陳重 「法窓夜話」
...然(しか)れども心の礼のなお一層重き事を思うべし...
村井弦斎 「食道楽」
...なお一層悲しげにその目をみつめながら...
室生犀星 「みずうみ」
...なお一層の健在と健康を期待するという意味を多分にふくめて...
森下雨村 「三十六年前」
...なお一層ヨーロッパの人々に誤解を生ぜしめる日本の特長が...
横光利一 「我等と日本」
...この驚くべきフランスの技術は、同時に思想上に於ける技術の進歩となり、第一の自然をさらに第二の自然に変え、なお一層複雑に、第三の自然をさえ造りつつあります...
横光利一 「我等と日本」
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