...木の芽を誘うには早すぎるが、空気は、湿気を含んで、どことなく暖い...
芥川龍之介 「野呂松人形」
...然し義雄は敷島に對して普通よりも深くなつてゐるだけ、どことなく、却つて今のいさかひの隔てが出來た樣に感じられる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...いわゆる黄昏の空はまだ太陽の光はどことなくとどめているのにはや闌干(らんかん)たる宵の明星は光を放っているというような...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...またどことなくしどけないのを飾る気味もあッて...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...どことなくおとなびて来るのが自分の目にもよく見えた...
寺田寅彦 「花物語」
...目をどことなく天井の隅に定めて...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「唇のねじれた男」
...どことなく気韻(きいん)に乏(とぼ)しい心持が...
夏目漱石 「草枕」
...どことなく黒人(くろうと)らしい媚(こび)を認めて...
夏目漱石 「行人」
...彼はどことなく前より生々(いきいき)してきて...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...どことなく寂しい気がする魚族の幽邃さは...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...どことなく土建会社の現場監督といったような...
山本周五郎 「青べか物語」
...どことなく亡くなられたお母様にも似て来たのに気が付いてビックリすることが度々あるようになりました...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...どことなく犯人らしい冴え返った顔色をして……底の底まで緊張した...
夢野久作 「冗談に殺す」
...……部屋の中の全体がどことなく...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...そんな者はどことなく馬鹿に見えるのは日本と変らぬ...
横光利一 「欧洲紀行」
...どことなく濃尾の平原にある街のようだ...
横光利一 「欧洲紀行」
...「とても蜀にはかなわぬ」という空気がどことなく漂ってきた...
吉川英治 「三国志」
...どことなく打ち潤(しめ)っている窶(やつ)れの美しさが...
吉川英治 「春の雁」
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