...それで、ともかく、きみののぞみもなかば達せられるわけだ...
アンデルセン 楠山正雄訳 「影」
...しかしともかくもこのようにして電気の現象について学問の上で非常に注目されるようになったときに...
石原純 「マイケル・ファラデイ」
...それはともかく、何者かが旗田鶴彌氏射撃に使ったピストルを、あなたは家政婦の部屋に隠した...
海野十三 「地獄の使者」
...ともかく一家の歴史がそれに懸っているのだから...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...ともかくも出来得る限り『ホトトギス』のために御用を務める事に致すべく候...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...ともかくこうして...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...これが、私がこの不思議なる日記を発見したアンゴラ国境調査隊へ加わっていた理由なのであったが、この熱帯下無人の地域の調査が、いかに困苦艱難(かんなん)を極めたものであったか、そしていくたび猛獣毒蛇の危害のために全班員二十三名が危険に曝(さら)されたかということなぞは事新しく言うだけ余計なことであろうから、ここにはこの日記に関係のない調査隊の活動なぞということは一切省略して申し上げぬこととしようが、ともかく、いよいよオジュラノ高山を囲繞(いにょう)する大密林地域の測量もほぼ終わりかけて――ということは、やがて、私の志願した仕事も予定の約一カ年半の期間をほぼ終わりかけていた頃、ということになるのであったが――現地の事情に通ぜぬ委員たちが、ただ地図の上へ盲滅法に線を引いただけの迂愚(うぐ)を笑いつつ、自分たちの一年有半労苦の結晶たる測量図の整理を急いでいた頃には、すでに、熱帯風土病である黒死病(ペスト)のために班員中七名の土人人夫を失い、猛獣のため三名を失い、馬匹(ばひつ)は六頭を斃(たお)され、残る班員の大多数も髯(ひげ)ぼうぼうとして山男のごとく、被服は、汗と塵(ちり)、垢に塗(まみ)れて破れ裂け、補給の道もなく、皮膚は一年有余にわたる灼熱の太陽に燬(や)かれてアンゴラ土人となんの変わりもないくらいにこげ切っていた...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...ともかくこうやって...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...それはともかく、これが私の脳裡に残っている唯一の祖父の姿である...
外村繁 「澪標」
...ともかくもこの場合...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はともかく今日こそ判然と...
浜尾四郎 「死者の権利」
...ともかく相続人を欲しがっている...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...犬を見られまいと思ったのか、あるいはもう寝床に入っていたのか知らないが、ともかく紳士は、自分の安静をふとどきにも妨げようとしたやつがあるというので、おそろしく腹を立てた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「鉄道事故」
...それはともかく、おれは途中ほうぼうで接触する人たちの間では、気持よく感じていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...ともかくもタマもて身を粧(よそお)う風習の是ほど根強い種族が...
柳田国男 「海上の道」
...「ともかく驚きました」吉太郎がそう口を切った...
山本周五郎 「思い違い物語」
...ともかくも披露させよう」それから酒宴になった...
山本周五郎 「菊千代抄」
...ともかく当時の興行としては破天荒...
山本笑月 「明治世相百話」
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