...しんせつな安藤はともかくも治療(ちりょう)の見込(みこ)みがすこしでもあるならば...
伊藤左千夫 「箸」
...ともかくその痛みをとめるために歯医者へかけつけたのだろうということでした...
江戸川乱歩 「妻に失恋した男」
...ともかく、私は昨夜まんじりともしていないのです...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...そのごせんど(御先途)をみとゞけてからともかくもなろうとおもっておりました...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...病中・ともかくも生かされてはゐる雑草の中・をんな気取つてゆく野分ふく・蛇がひなたに...
種田山頭火 「其中日記」
...ともかく、そういう偏見は、この物語の最初にロック氏が現にデイゴーの土地に来ていたからといつて、決して氏の胸の中で静まつていたわけではなかつた……氏はメキシコ境の丘の一つを猛烈な勢いで大またに登りながら、シュロの木を周囲に植えこんだ真白なホテルへ向かつていた……そこにはポター夫妻が泊つていて、あの神秘的なハイペシアがいま謁見をたまわつているはずであつた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...ともかく、それは私のものにはしません...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...ともかく我々と一緒に本陣まで同道せい」「どうか...
中里介山 「大菩薩峠」
...といって、退(ど)いて下さいとも言えず、ぜひなくお松はまた舞い戻って、ではともかく、一旦は宿へ引取ってからと思いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ともかく、行ってみてやるがいい」「行きますがね、親分、曲者の見当だけでも付かないと、捉まえようがありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ともかく急に起きられそうもないというんだ」「病気だったのか...
久生十蘭 「だいこん」
...その裏の林のなかで山鳩(やまばと)でも啼(な)いたのだろうか? ともかくも...
堀辰雄 「美しい村」
...そこにともかくもさうしたホテルらしいものを建てた...
堀辰雄 「ふるさとびと」
...「えゝ――ともかく……」……僕の体が達磨のやうに転げさうになるほどスピードを強めてゐた時...
牧野信一 「センチメンタル・ドライヴ」
...ともかく今度は間違ひなく英の字を付けようぜ...
牧野信一 「父を売る子」
...田中伯の斡旋で三菱の岩崎が乗り出してくれてともかく二千円の借金を綺麗に払って下さったのです...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...ともかくそこらを搜し廻つたであらう...
水野仙子 「輝ける朝」
...――ともかく、新田軍は、ここでその三分の一兵力を失ったといわれている...
吉川英治 「私本太平記」
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