...つまるところ、自然にはただありのままがあるだけで、自然自身より見れば美もなく、また醜もない、これを見て美と称し、醜と称するのはすべてわれの方の働きである...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...つまるところは妻への深い愛情がさせる業(わざ)であろうと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...お前の魅力(みりょく)の秘密はつまるところ...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...つまるところ、真の信仰を得よ、とな...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...つまるところ「青年」的な片言にすぎなかったのだから...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...そこで老中派遣(はけん)の勘定役が、両代官を従えて出張してまいりましてな、郡村に亘(わた)って検地丈量の尺を入れたのでござるが、もとよりお上(かみ)のなさることだから、人民共に於て否(いな)やのあろうはずはないのでござるが、そのお上のなさるというのが、必ずしも一から十まで公平無私とのみは申されませんでな」関守氏は煙管を炉辺でハタハタとはたいて、吸殻を転がし落してから、吸口をスバスバとつけてみて、「つまるところ、わいろなんですね...
中里介山 「大菩薩峠」
...つまるところは間接に独仙が殺したようなものさ」「むやみに熱中するのも善(よ)し悪(あ)ししだね」と主人はちょっと気味のわるいという顔付をする...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...よろこびはあるのだ」つまるところ黒服のお坊さんは...
久生十蘭 「だいこん」
...つまるところ、この臼砲は厖大に仕立てることによって、故意に諸元を狂わしてあるが、それは臼砲の効用を好戦的な日本人に知らせたかったからだと、咄嗟(とっさ)にオランダ人の心情を看破した...
久生十蘭 「ひどい煙」
...つまるところあらかじめ用意された芽が非常に豊富だからである...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...つまるところ私は二階から土蔵の中までの掃除をしなければならなかったのですもの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...でもつまるところ私はよろこんでいいのであると思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...神さまみてえな――つまるところが...
三好十郎 「その人を知らず」
...つまるところはこっちの負けです...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...つまるところあの女は一個の可哀そうな女に過ぎないのです...
夢野久作 「少女地獄」
...つまるところ私は探偵小説を書く気分で普通の読み物を書いていた……極端に云えば知らず知らずとはいえ探偵小説を冒涜していたということを自覚しました...
夢野久作 「所感」
...つまるところが精神病は...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...つまるところ、上下一体、天下分け取りの分け前に、ひとしく気が立っていたのでもあるが、しかし、高氏道誉の、じつは異夢同床(いむどうしょう)の二頭目だけは、やや趣(おもむき)がちがっていた...
吉川英治 「私本太平記」
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