...ついでながら今日の帝室技芸員で在京の人々の顔触れをいって置きましょう...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...神品に近い秀抜のお歌も、このとしには続々とお出来になりました御様子でございますし、のちに鎌倉右大臣家集とも呼ばれ、または金槐和歌集とも称せられた千古不滅の尊くもなつかしい名歌集も、このとしの暮にひそかに御自身お編みになられたものらしく、鎌倉右大臣家集或いは金槐和歌集といふ名前などは、もちろん将軍家のおなくなりになつて後に附せられたものでございませうが、ついでながら、金槐の金は鎌倉の鎌の偏をとつたものの由で、槐は御承知のとほり大臣を意味する言葉ゆゑ、金槐とは鎌倉右大臣の事でございますさうで、私たちには思ひ出も悲しくさうして今ではあのお方の御俤をしのぶ唯一のお形見ともなつたあの御歌集が、御年わづか二十二歳で完成せられたとは、あのお方の、やつぱり、ただ人でないといふ事の何よりの証拠ともならうかと存ぜられます...
太宰治 「右大臣実朝」
...ついでながら、この将軍家の最も御寵愛なされてゐた新兵衛尉朝盛さまさへ、この五月の兵乱には、やつぱり和田氏御一族に従ひ、黒衣の入道の姿で御ところへ攻め入つたのでございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...ついでながら、筆者はその時分のお虎子(まる)がどんなものであったかを知らない...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...ついでながら、池には大きな鯉(こい)がかなりたくさんいる...
寺田寅彦 「池」
...ついでながらフョードル・パーヴロヴィッチのことを少しばかり話しておこう...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...小さな頭をめちゃめちゃに砕いてしまうんだ……いかにも芸術的じゃないか? ついでながら...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...ついでながら、私はあなたの馬車の音を聞かなかったですが、たぶんあすこの分かれ道の所の林の後ろに乗り捨ててこられたのでしょう...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...というのはシュレミング團の一員で(ついでながら申し上げますれば...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...ついでながらいうがその翌年は山口で同じ会が開かれて...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...ここへじりじり攻め寄せたかをついでながら物語られた...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...(ついでながらいつておくが...
長谷健 「天草の春」
...ついでながら当時の日本の蒸汽船というのは全部で三艘...
服部之総 「咸臨丸その他」
...詳しくは同署へお問い合わせ下されたく、その前に、島田家の北隅にある物置に昨夜より気の毒な男がとじこめられおり候につき大至急解放いたしやり下され度候、ついでながら、これより安田銀行に赴き、島田の預金はすべて引き出しおき申すべく候につき同人によろしくお伝え下されたく、同人は役にもたたぬ古(ふる)帳面を火傷(やけど)をしてまでにぎりつめおりしこと気の毒にたえず候、島田の所有せし現金は、いずれ公共事業のため適当に処置仕(つかまつ)るべく、勝手ながら処分かたご一任下されたく候、いずれ近々別様の方法にて、別の場所にてお目にかかり申すべく候、甲刑事は目下小生と同乗昨夜の物語りをして笑いおり候、最後に一言いたしおきたき儀は、小生らは決して善良なる市民に迷惑を及ぼすことはいたさず候につきご安心被下度(くだされたく)候、まずは取り急ぎ要用のみ...
平林初之輔 「祭の夜」
...ついでながらこれを巻末に記すのみ...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...ついでながら名をシルリングといった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...この夫婦――ついでながら子供はなかった――はカイゼル街の...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...ついでながら我々はカントの自我或ひは意識一般をフッサールのいふ純粹意識の如く解することを避けねばならぬ...
三木清 「認識論」
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