...ついつい米の飯のおかげを忘れてしまって...
寺田寅彦 「科学に志す人へ」
...自分はいつでも書いてもらえるような気がしてついつい絵も書も一枚ももらわないでいたら...
寺田寅彦 「夏目漱石先生の追憶」
...そうしてこの気の毒なお嬢様の身の上に心の中で同情をしながら牧場を歩いて行くうちに、ついつい、お嬢様のお家のあるところだという欅(けやき)の林に近いところまで来てしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ついついそのまま通り過ぎてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ついつい大事を惹(ひ)き起さないとも限らないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...ついつい本当に泣いてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「そうして、なんでございますか、御病人は、白骨で病み出しておいでになりましたか」「はい、どうもとんだ災難でしてね」「どちらのお方でございますか」「高山の者なんですが、ついつい、あんなところに長居をしたばっかりに、こんなことになってしまいました、ホンとによせばよかったのですがね」「ははあ」久助も、お雪ちゃんも、ほとんど烟(けむ)にまかれてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ホ、ホ、ホ、ホ」とお雪ちゃんがまた笑って、それにつぎ足して言いますには、「それは、先生、費えの方ばかり考えますと、そうかも知れませんが、その人がみんな遊んで食べているわけじゃありますまい、それぞれ稼(かせ)ぎをして、食べて行くんですから、そう憎んじゃかわいそうですね」「ところが、なかなか、稼ぎをして食って行くなんていう筋のいいのばかりはねえんでね、食っちゃあ遊んでいるのはまだいいがね、どうかして人の稼ぎためを食いつぶして、自分は楽をして生きて行きてえという奴がうんといるんだから、そんなのは、いいかげんに眠らしちまった方がいいんだが、さて、今いう通り実際となると、なかなか、この手が言うことを聞かねえんでな、ついつい、無慈悲な、人生(ひとい)かしをしちまうんだ、人殺しも感心しねえが、人生かしという商売も、これでなかなか辛(つら)いよ」「ですけれど、先生、そう一概に悪い人ばかりあるわけではござんすまい、こういう人を助けて置けば、国のためにもなり、人のためにもなる、こういう方はぜひ助けて置かなければならないと、お考えになることもあるでございましょう」「無(ね)えね――」道庵先生が言下に首を横に振ってしまったものですから、お雪ちゃんも、あんまり膠(にべ)のないのに少々狼狽(ろうばい)気味でした...
中里介山 「大菩薩峠」
...ついついそのたんかを聞かされてしまわなければなりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...それでも、もしやという懸念(けねん)から、だしぬけに家へ電話をかけて、不意打ちを食わせたが、いちども留守だったことはなく、夕方、玄関へ出迎えるのは、いつも柚子で、そのうちに、そういう用心も馬鹿らしくなって、ついつい、やめてしまった...
久生十蘭 「春雪」
...その視野からついついと外(そ)れて行く幾つかの顔にも気が付いていた...
本庄陸男 「石狩川」
...荷物の支配などをしながら篠谷に対する憤懣からついつい荒つぽい言葉を取り換してゐると...
牧野信一 「南風譜」
...ついついお手紙さへも書きおくれて居りましたこと...
牧野信一 「〔婦人手紙範例文〕」
...道は之の字巴の字に曲りたる電信の柱ばかりはついついと真直に上り行けばあの柱までと心ばかりは急げども足疲れ路傍の石に尻を掛け越(こ)し方(かた)を見下せば富士は大空にぶら下るが如くきのう過ぎにし山も村も皆竹杖のさきにかすかなり...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...もしやり損なったらこっちの首がすぐ失(な)くなる」ついつい...
吉川英治 「新・水滸伝」
...ついついお喋舌(しゃべ)りばかりしていて」王婆が梅湯を茶托(ちゃたく)にのせて奥から出直して来ると...
吉川英治 「新・水滸伝」
...かくてついつい幾日かを釣られて歩き...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――そして即日、戦野の幕舎(テント)千旗(き)を払って退却に移ったが、北京府(ほっけいふ)の城内では、この変(へん)を知っても、たびたび奇計に懲(こ)りていたので、「またも騙(だま)しの手か?」と、狐疑(こぎ)したままで、ついつい、追撃にも出ずにしまった...
吉川英治 「新・水滸伝」
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