...右にも左にもちらつくんだ...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...こればかりは冷たさうな掛守(かけまも)りの銀鎖もちらつく程...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...紅(あか)いセエム革(がわ)がちらつく気持でした...
田中英光 「オリンポスの果実」
...父親の帰りをまっているだろうあわれな姿が目の前にちらつく...
壺井栄 「二十四の瞳」
...他の男の影がちらつく不快さに久能は眼前が昏くなった...
豊田三郎 「リラの手紙」
...葛西橋の燈影のちらつくのを認めて...
永井荷風 「放水路」
...實際目前にちらつく千差萬別の景色は...
長岡半太郎 「大阪といふところ」
...座敷へ投げて置くと目にちらつくものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...ちらつく苔(こけ)の定かならぬようである...
夏目漱石 「虞美人草」
...津田は時々自分の眼先にちらつく洋刀(ナイフ)の光のように眺める事があった...
夏目漱石 「明暗」
...生姜畑枯れ山の芒(すすき)ア穂に出てちらつくが赤い畑の唐辛(たうがらし)帯にしめよか襷(たすき)にしよかどうせ畑の唐辛石を投げたら二つに割れた石は磧(かはら)で光つてる安(やす)が女房(にようぼ)の連ツ子はしよなりしよなりともう光る生姜畑の闇の晩背戸へ出て来て光つてる...
野口雨情 「別後」
...広島の惨劇がまだ目さきにちらつく私には...
原民喜 「小さな村」
...さつき視詰めたペン先がふと眼の前にちらつく...
原民喜 「火の踵」
...不思議やお勢の姿が目前にちらつく...
二葉亭四迷 「浮雲」
...白い肌がちらつく...
森鴎外 「雁」
...ちらつく火影(ほかげ)にすかして...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...そのかげにちらつく眼をそばめた母の顔が意地の悪い冷いものに思われるのだった...
矢田津世子 「父」
...時々ははるか対方(むこう)の方を馳(は)せて行く馬の影がちらつくばかり...
山田美妙 「武蔵野」
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