...ちょっとの間(ま)に彼はもう土穀祠(おいなりさま)の宮の中にいた...
魯迅 井上紅梅訳 「阿Q正伝」
...その波形を初めて正確に見ることが出来た」博士はここでちょっとの間言葉を停め「とにかくわれわれがこれまで海底地震と呼んで来たものは本当は地震ではなかったのだと思う...
海野十三 「地球発狂事件」
...―――ちょっとの間辛抱しなさい...
谷崎潤一郎 「細雪」
...痛いいうてもほんちょっとの間です」いうてるうちにもうシッカリ手エ握ってて...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...「逢ったのだろう」さっきからちょっとの間に恐ろしく相形(そうぎょう)の変ったお宮の顔を瞻(みまも)った...
近松秋江 「うつり香」
...その頭はちょっとの間揚げられ...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...「では、ちょっとの間ね...
豊島与志雄 「牛乳と馬」
...「お早う」「お早うございます」「済まないがね、君」「はい」「少し馬を頼みたいのだが」「この馬は、等々力(とどろき)へ豆を取りに行く馬でございますが」「そこをひとつ折入って頼むのだ、有明明神のところまで……」「明神様までなら、そんなに遠くはねえのだが……」「うむ、ちょっとの間だ、そこへひとつ馬を連れて行って、多分、あの辺に、旅に疲れた女の人が一人いるはずだから、それを馬に乗せてつれて来てもらいたい」「ここまで連れて来ればいいのかね」「ここまでではない、左様、穂高の村まで連れて来てもらいたい」「穂高のどこまで連れてくだね」「左様、よくは知らないが、あの穂高神社の附近に拙者が待っているから、そこまで連れて来てもらおうか」「旦那様は、一緒においでなさらねえのかね」「ああ、拙者は一足先に待っている」「ようござんす、ちょうど、この馬も等々力まで行く馬ですから、穂高へは順でございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...ちょっとの間に相場がきまってしまった...
夏目漱石 「自転車日記」
...ちょっとの間をおいてからやっと眼を上げ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...「おいおい、ここは公園じゃないんだから、勝手な真似をしてもらっちゃ、困るね」芝生の上は、ちょっとの間、しずかになったが、石田氏のほうを尻目で見ながら、すぐまた、ガヤガヤいいだした...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...白くたちこめる湯気の中に、背に彫(ほ)られた恐しい般若の面が、すっと消え、ちょっとの間、妖しい雰囲気がただよった...
火野葦平 「花と龍」
...ちょっとの間何も見えなくなるくらい明るい林のなかの空地があったりした...
堀辰雄 「美しい村」
...ほんのちょっとの間...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...せいぜいほんのちょっとの間だけしか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...しかたなくちょっとの間...
宮沢賢治 「烏の北斗七星」
...それもほんのちょっとの間...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...それもちょっとの間さ」――彼女は言う――「眠ってたなんて言えやしない...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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