...もっともこの声と云うのも、何と云っているのだか、言葉は皆目(かいもく)わからないのですが、とにかく勢いの好い泰さんの声とは正反対に、鼻へかかった、力のない、喘(あえ)ぐような、まだるい声が、ちょうど陰と日向(ひなた)とのように泰さんの饒舌(しゃべ)って行く間を縫って、受話器の底へ流れこむのです...
芥川龍之介 「妖婆」
...私はだるい体を起した...
梅崎春生 「風宴」
...だるい...
太宰治 「新郎」
...だるい車の音をたてながら...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...脚が重い、けだるい、胸がむかつく...
田山花袋 「一兵卒」
...だるいのをごまかしてるかのようでもあった……...
豊島与志雄 「霧の中」
...ここで兵馬は衣裳を改めて、床の間を前に端坐して、この、まだるい、悪寒(おかん)の、悪熱(おねつ)の身を、正身思実(しょうじんしじつ)の姿で征服しようと企(くわだ)てたのらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...倦怠(だるい)のを通り越して重い...
夏目漱石 「坑夫」
...風呂上りの、けだるい五體が、まるで、ぼつてりと水を含んだやうに重い...
林芙美子 「暗い花」
...其は背すぢが始終耐らなくかゆくてだるいのである...
村山槐多 「悪魔の舌」
...ぞつくりとだるい氣がし出した...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...さきのだるい声がぜいぜい続いたのである...
室生犀星 「幻影の都市」
...急に背中がだるいような気持ち...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...躯(からだ)がぬけるようにだるいとかいったふうに...
山本周五郎 「おばな沢」
...よ」と重さんは舌がだるいような口ぶりで云う...
山本周五郎 「ちゃん」
...そして気だるいほど...
吉川英治 「三国志」
...瘧病(おこり)に罹(かか)ったような気(け)だるい熱ッぽさを持ちつづけて帰った...
吉川英治 「私本太平記」
...気だるい春昼(しゅんちゅう)の納屋倉(なやぐら)に...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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